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ラーメンやスイーツの行列、どれくらい待てる? 2000人の声、最長は何時間?

「同調意識の強さ」影響か

「行列に並んででも食べたい理由」と「全く並びたくない」理由
「行列に並んででも食べたい理由」と「全く並びたくない」理由

 続いて、心理カウンセラーの小日向るり子さんに話を聞きました。

Q.行列で長時間待てる人の心理について、教えてください。

小日向さん「行列店は、もちろん味のおいしさから行列店になることもありますが、あえて行列を作ることをマーケティングの手法として行うこともあります。これは『バンドワゴン効果』と言われ、流行しているという状態を見ると、関心がなかった人もつられて興味をそそられるという心理効果です。

日本人は『和』という言葉に代表されるように、同調意識が強い文化を持つため、行列に弱い(行列が好き)国民性だと言えるかもしれません。実際、アンケートの『行列に並んででも、食べたい理由は』という質問に対して『話題だから』『友人・恋人・家族が食べたいというから』『みんな並んでいるから』といった同調意識に基づく理由を挙げた人が7割近いという結果が、それをよく表していると思います。

つまり、行列で長時間待てる人は、同調意識が強い人が多いのだと思います」

Q.では、行列に並ぶことを嫌う人の心理とは、どのようなものでしょうか。

小日向さん「行列が嫌いな人といっても、『それが何であっても、1分でも並ぶのは嫌』という人から、『基本は嫌だけど、並ぶこともある』という人まで、その強弱はさまざまのようですが、『絶対に待たない』という人は恐らく、『何かを得るために待つ』という価値観を、もともと自身の中に持ち合わせてないのだと思います。ないものは、選択肢にすら挙がりませんから。

その他、自由記述を見ると、待つことに対して、『苦痛』『しんどい』『疲れる』『気分が悪くなる』といった心身の苦痛を伴う言葉が見られます。これは、今回のアンケート回答者の約7割が40代以上ということも関係しているのではないかと思います。年齢を重ねるにつれて、行列に並ぶこと自体が体力的にきつく感じてきますし、また年齢とともに新しいものへの興味や関心が薄れがちになる、という面もあるのでしょう」

Q.アンケート結果のうち、「どのくらいまで、行列で待てますか」という質問への回答について。

小日向さん「今回は食べ物が『ラーメン』と『スイーツ』ですが、どちらとも、待てる時間は1時間以内という人が約7割でした。この結果は、他者との食コミュニケーションにおいて参考になると感じます。

『全く待てない』2割の人を除いて考えると、『待てる』人のうち9割が『待つのは1時間が限度』だと感じているのです。ラーメンは主食でスイーツは間食、かつ食す時間帯も異なる食べ物ですが、結局多くの人は『食べる』という行為に対して『待つ』ことは1時間以内と考えているのが、一般概念なのでしょう。年代によっても異なるとは思いますが、これは、自分がどんなに食べたいものであっても、他の人を行列の店に誘う際、参考になる数値だと思います」

Q.「行列に並んででも、ラーメンやスイーツを食べたいと思う理由」について、感想をお聞かせください。

小日向さん「日本人は海外の人に比べて、『不安を感じる遺伝子』の影響が強いと言われています。それが『はやりに乗れば安心』という心理につながり、結果として行列に並ぶ要因にもなると思うのですが、このアンケート結果にも、如実にこうした心理状態が表れていると感じました。

先述したように、今回の回答者の7割は40代以上ですが、SNSとの親和性が高い若い年代の回答者が多ければ、『SNSに投稿したいから』(1.0%)の割合はさらに増えていると思います。これも突き詰めれば、投稿への『いいね』の多さによって、『流行に乗れている自分』に安心し、さらに、承認欲求も満たして安心するという心理状態があると思います」

Q.アンケート結果で、ほかに印象深い点があれば。

小日向さん「個人的には、自由回答の中で一番長く並んだ食べ物に『かき氷』を挙げる人が比較的多く、また総じて食べた後の満足度が高かったという回答は面白かったです。『暑い中並んだ』『炎天下の中で並んだ』といった言葉があることから、かき氷のおいしさもさることながら、『暑い中頑張って並んだ後の冷たい氷』というシチュエーションがおいしさをさらに盛り上げたのでしょう。食べ物に限らず、人生ある程度のアップダウンがある方が楽しめるのかもしれませんね」

※この記事は、オトナンサーがYahoo!ニュースを通じて実施したアンケートの結果を活用しています。アンケートは6月13~14日、全国のYahoo! JAPANユーザーを対象に行い、2000人から有効回答を得ました。年代は30代18%、40代35%、50代28%が多く、男女比はほぼ6対4。職業は会社員44%が最多で、自営業・フリーランス13%、専業主婦(主夫)11%などでした。
※アンケートのパーセンテージは小数点第2位を四捨五入しており、合計が100%にならない場合があります。

(オトナンサー編集部)

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小日向るり子(こひなた・るりこ)

心理カウンセラー

カウンセリングスペース「フィールマインド」代表。出版社で働きながらボランティアで電話相談員を始めたことが、カウンセリングの世界に入るきっかけに。資格取得後、行政機関でのセクハラ相談員を経て、2012年に独立。2019年4月現在、約3500件の相談実績を持つ。メディア、ネットなどで心理・恋愛系コラムを多数執筆。フィールマインド(http://feel-mind.net/)。

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