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「恥ずかしい」か「やりくり上手」か ”値引きシール”巡る人々の思い

「かえって出費増」パターンも

 最後に、値引きシールが関わったがゆえに、かえって出費が膨らんだケースをピックアップしましょう。

「夕飯を作りたくないから総菜かお弁当を買って済ませたい時、値引きシールの一点狙いです。(シールが貼られる)時間を見計らってスーパーに行きます。

 買い物かごの中は値引きシール付き商品で埋め尽くされますが、それだと恥ずかしいので、値引きされていない商品をいくつか追加で買ってしまいます。買わなくていいものを買うこともあり、『節約どころか、かえって無駄遣いしているのではないか』と自問自答する日々です。

ただし、近所のスーパーがセルフレジを導入してからは、無駄な買い物をしなくて済むようになりました」(40歳男性)

「値引きシールが貼ってあるとお得に思えて、どんどんカゴに入れてしまう。結果、『こんなにたくさん買う必要はまったくなかった……』と反省することもしばしばです。でもまた同じことを繰り返してしまいます。その時よく買ってしまう1位はスイーツ、2位が総菜です。

 夕食前に買い物に行くと、そのタイミングはおなかが減っていることが多いので、すぐに食べられそうな商品の誘惑が、より一層強くなるのだと思います」(31歳女性)

 値引きシール利用者にとっては「あるある」に感じられる部分もあるエピソードではないでしょうか。「たくさん買って、結局1食では食べ切れずに、残りを次の食事に持ち越す」までがセットです。

「たかが値引きシール」ですが、「されど値引きシール」です。これを巡って、いろんな人のさまざまな思惑があるのは面白いですね。

 最近は物価の上昇が著しく、家計への関心がひときわ高まっていることと思います。つまり、値引きシールも平時より注目されている状況です。今日もスーパーでは、値引きシール付き商品を前に、あまたの葛藤が繰り広げられていることでしょう。

(フリーライター 武藤弘樹)

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武藤弘樹(むとう・こうき)

フリーライター

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。1児の父で、溺愛しすぎている飼い猫とは、ほぼ共依存の関係にあるが本来は犬派。趣味はゲームと人間観察。

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