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「恥ずかしい」か「やりくり上手」か ”値引きシール”巡る人々の思い

スーパーなどで、お弁当や総菜に値引きシールが貼られることがあります。この値引きシールへの考え方は人によって差があり、それぞれ独自のこだわりがあるようです。

「値引きシール」について思うことは?
「値引きシール」について思うことは?

 スーパーなどで、お弁当や総菜に値引きシールが貼られることがあります。売れ残って廃棄するくらいなら、値引きしてお客さんに買ってもらい、お客さんもお得な買い物ができるという「win-win」なシステムです。

 この値引きシール、考え方は人によって差があり、細かく話を聞いていくと、それぞれ独自のこだわりがあるようです。その一部を紹介したいと思います。

「喜んで買う派」「避ける派」代表的意見は?

 まずは、値引きシール「喜んで買う派」と「避ける派」、両派の主な考え方です。

「一家3人、子どもは食べ盛りですが、値引きシールを駆使すれば、食費は月に1万~1万5000円ほど節約できます。私は値引きシールが貼られる時間帯を狙ってスーパーに行きますし、自分が買いたいけどまだシールが貼られていない商品があって、近くにシールを貼る作業をしている店員さんがいたら、お願いして貼ってもらうこともあります。

『恥ずかしい』という気持ちはまったくなく、『家計をうまくやりくりしている誇らしさ』と、廃棄寸前の商品を“助けてあげている”ような『いいことをしている気分』があります」(47歳女性)

「どうしても恥ずかしく思えてしまいます。買うにしても、せいぜい値引きされたスイーツを1、2個が限界です。値引きシール付き商品を買い物かごに入れている姿を見られたり、その商品満載でレジを通したりすると、他人から『あさましい』と思われる気がするからです。

他の人がそうしているのを見てもあまりそうは思わないのですが…。私は少し自意識過剰かも知れません」(37歳女性)

 ここに挙げた2つの意見は、値引きシールを「喜ぶ派」と「避ける派」の代表的なものかと思われます。これは言ってみれば両派の基本形で、ここからさまざまな考え方が生まれています。

「家族の有無」で変化

 例えば、「昔は『喜ぶ派』だったけど今は『避ける派』」という人はこう話します。

「口にするものはおいしく食べたいので、同種の商品が並んでいたら、一番安いものは決して選ばないタイプです。『一番安い』という事実を知っていると『質があまりよくないのかな』という思い込みが先立って、おいしく味わうことができません。

なので、値引きシール付きの商品も同様です。『値引きされている=価値が低い=味も良くない』と反射的に考えてしまいます。

独身時代は、むしろ喜んで値引きシール付きを求めていたのですが、家族ができてからは避けるようになりました。食事は主に私が作りますが、家族には少しでもいいもの、おいしいものを口にしてほしいからです」(29歳女性)

 家族ができて感じ方が大きく変わったケースです。これに関連して、次のような男性もいます。

「1人で買い物に行った時は積極的に値引きシール付きを狙います。帰宅して『総菜が全部半額だった』と報告すると、妻も褒めてくれます(笑)。

しかし、子どもと一緒に買い物に行った際は、値引きシールを避けます。周りの人、特にレジの人に『あの子どもはまともな物を食べさせてもらえていないのかな』と思われたくないからです。うちもお金がある方ではないのですが、子どもがらみのことは、少しばかりコストが高くなったとしても、しっかり見られるようにしておきたい、と考えています」(35歳男性)

 自分一人であれば我慢できる、あるいは気にならないことでも、自分以外の人(この場合だと家族)には同様の我慢をさせたくないという、思いやりの精神です。意外にも値引きシールが「他人への思いやり」について考えさせてくれることもあるようです。

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武藤弘樹(むとう・こうき)

フリーライター

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。1児の父で、溺愛しすぎている飼い猫とは、ほぼ共依存の関係にあるが本来は犬派。趣味はゲームと人間観察。

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