ホークス7000万円超、ファイターズ3000万円以下…年俸の「格差」問題ない?
「高年俸=勝利」と言い切れず
Q.上位球団と下位球団では、最大で倍以上の格差があります。戦力の均衡などを考えた場合、問題はないのでしょうか。
江頭さん「野球とサッカーとで、年俸と戦力の関係を見てみましょう。市場規模などを考えて、アメリカのメジャーリーグ(MLB)と、イギリスのプレミアリーグを比較してみます。私はまず、MLBの公式記録から、選手の年俸と、年間勝率との相関関係を確認しました。
2019年(新型コロナ流行前)は、『相関係数』が29.41%、2018年は28.29%でした。なお、『相関係数』は2つのデータに関連性を示す指標で、100%だと、完全にリンクしている水の重さと体積のような状態で、0%だと全く無関係となります。MLBの年俸総額と勝率とは、統計的には、ほとんど無関係という結果になりました。少なくともMLBでは、チームが高い年俸を負担することと、勝率に関係はない、といえます。
一方、欧州サッカーでは、選手年俸に関するルールは少なく、サッカークラブの経営状況に合わせて選手年俸を支払うことができます。制限が少ないことで、各国の代表選手ばかりを集めたチームをつくることも可能になり、チーム年俸と成績には相関関係が生じます。コロナ前の2018~19年プレミアリーグ20チームの勝ち点と、選手年俸の相関関係は81.55%で、選手年俸を高くすれば、勝利できるという傾向になっています。
野球という競技では、年俸と勝率の関係は希薄でしたので、お金をかければ勝利できるとは、言い切れません。若手の選手が多く、『BIG BOSS』新庄剛志監督の就任で観客動員が好調な日本ハムは今後、選手が実力を大いに伸ばしてくる可能性があります」
Q.プロ野球における年俸の在り方について、意見を聞かせてください。
江頭さん「プロ野球の選手年俸は、はっきりした基準がありません。ビジネスモデルは興行で、収益の最大化が一時的な目標です。もちろん、優勝して日本シリーズに出場すると、収益も大きくなりますので、勝利も要素の一つです。
一方で、素晴らしい成績を残しても人気が出なくては、プロとして不十分と言えます。BIG BOSSは現役時代、競技以外でも観客を楽しませる企画をいくつも実行し、人気を集めました。プロ野球選手はエンターテイナーとして年俸交渉をする時代になっていると思います。また、球団の経営状況と比較して、選手年俸が高いことを選手に自覚してほしいです」
(オトナンサー編集部)
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