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「いつもありがとう」、店員の言葉に違和感…「いつも」って、プライバシー知られている?

店員の「いつもありがとうございます」の「いつも」を気にする人がいます。「何をよく買うのか覚えられているのでは?」など、個人のプライバシーを把握されているとの不信感からですが、考え過ぎなのでしょうか。

「いつも」を気にするのは考え過ぎ?
「いつも」を気にするのは考え過ぎ?

 小売業や接客業などのビジネスでは、いかに常連客をつくるかが重要とされています。そのため、こうした常連客に対して店員がおもてなしの気持ちを込め、「いつもありがとうございます」と声掛けをすることが多いですが、中には「『いつも』と付けて、あいさつされるのは嫌だ」と感じる人もいるようです。その理由として「顔を覚えられているようで嫌」「何をよく買うのか覚えられているのでは?」など、個人のプライバシーを知られているかもしれないという不信感です。

「いつもありがとうございます」の「いつも」が気になる人は、考え過ぎなのでしょうか。経営コンサルタントの大庭真一郎さんに聞きました。

高級店では当たり前のように使用

Q.小売業や接客業の店員は、常連客の顔や名前、よく購入する商品・サービスなどを知っておく必要性を、職場の研修などで教えられているのでしょうか。

大庭さん「高級な飲食店や衣料品販売店など、常連客による購買が売り上げの大半を占める店などでは、店員に対して、常連客の顔や名前、よく購入する商品・サービスなどを知った上で接客することを、店側が教育するケースが多いです。

来店時に、客の名前を口にした上であいさつし、『いつもの○○でよろしいでしょうか?』『お客さまがお好みの○○が入荷しております』などと、店がその客を特別視しているような雰囲気を醸し出すことで、客が満足し、今後の来店につながっていくからです。

一方、大衆店などでは、客に不快感を与えないための接客の教育に力を入れており、常連客の顔や名前、よく購入する商品・サービスなどを知るための教育まで行われているケースは少ないでしょう」

Q.常連客に対して親しみを込め、「いつもありがとうございます」とあいさつするのは、小売業や接客業では当たり前のことなのでしょうか。

大庭さん「特定の客層しか来店しない高級店などでは、客にステータスを感じてもらうことで常連客になってもらう、すなわち客の囲い込みを行う目的で『いつもありがとうございます』とあいさつするのは、当たり前の対応ともいえます。

一方、不特定多数の客が利用する大衆店などでは、『いつもありがとうございます』とあいさつすることは、当たり前の対応ではありません。

店員と客がよく見知った者同士である場合に『いつもありがとうございます』とあいさつするケースは間々見られますが、普通に『ありがとうございます』とあいさつするのが一般的です」

Q.中には、「いつもありがとうございます」の「いつも」が気になる客がいるようです。個人のプライバシーを知られているようで嫌という理由のようですが、考え過ぎなのでしょうか。

大庭さん「考え過ぎではありません。『いつもありがとうございます』の『いつも』が、気になる客が多いのは事実です。『店側に顔を覚えられてしまった』と感じてしまうからです。顔を覚えられたことで、今後来店したとき、店員からさまざまな思いがけない臆測をされるのではないかと感じてしまうようです。

その臆測というのは、『いつも安い商品ばかり買っているが、あの客は収入が少ない人なのだろうか』『いつも1人で来店するが、あの客は寂しい人なのだろうか』などです。店員が自分に対して、ネガティブな印象を抱いているのではないかと疑念を抱いてしまうのです」

Q.店員がおもてなしの気持ちを込めて「いつも」と付けることを、客が快く思わないのは、意思疎通のミスマッチのように思います。店側も何らかの対策をしているのでしょうか。

大庭さん「あいさつで客に不快感を与えないため、マニュアルで声掛けも、常連客とそうでない客との間で使い分けしているのが一般的です。ただ、先述したように、『いつもありがとうございます』の『いつも』を気にする客もいるので、感謝の気持ちにもう一言加えて、客が不快に思わないような対応をしています。

例えば、常連客だと認識できない客には『ありがとうございます。またのお越しをお待ちしております』とあいさつし、明らかに常連客と認識できる客には『いつもありがとうございます。またのお越しをお待ちしております』とあいさつするような使い分けです」

Q.普段はあまり行かない店で、どの客に対しても店員が「いつもありがとうございます」とあいさつする店があります。この場合は、さすがに違和感があるのですが、どのような意図で言っているのでしょうか。

大庭さん「このケースでは、店側の方針としてどの客にも『いつもありがとうございます』とあいさつする場合と、店員の判断で『いつもありがとうございます』とあいさつする場合の2通りがあると思います。

前者の場合の店側の意図は、客に『あなたの来店を歓迎しています』『あなたのことを特別な客だと思っています』というメッセージを、あいさつを通して伝えることで、リピート来店を推進することにあるのだと考えられます。

後者の場合は、特定の店員が『いつもありがとうございます』とのあいさつが、心のこもった接客だと自ら考え、そのような対応をしていることが多いのだと考えられます。

そのため、どの客に対しても店員が『いつもありがとうございます』とあいさつしているのを見た場合、個人のプライバシーについては、あまり気にしなくてもよいのではないでしょうか」

(オトナンサー編集部)

【画像】入店時と退店時の「いつもありがとうございます」

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大庭真一郎(おおば・しんいちろう)

中小企業診断士、社会保険労務士

東京都出身。東京理科大学卒業後、企業勤務を経て、1995年4月に大庭経営労務相談所を設立。「支援企業のペースで共に行動を」をモットーに、関西地区を中心に企業に対する経営支援業務を展開。支援実績多数。以下のポリシーを持って、中堅・中小企業に対する支援を行っている。(1)相談企業の実情、特性に配慮した上で、相談企業のペースで改革を進めること(2)相談企業が主体的に実践できる環境をつくりながら、改革を進めること(3)従業員の理解や協力を得られるように改革を進めること(4)相談企業に対して、理論より行動重視という考えに基づき、レスポンスを早めること。大庭経営労務相談所(https://ooba-keieiroumu.jimdo.com/)。

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