車いす専用スペースに幅寄せして駐車する車に非難の声「自分さえよければいいのか」、必要なマナーは?
駐車場の車いす用スペースに幅寄せされたら困る、という趣旨の投稿がSNS上で話題に。「自分さえよければいいのでは」などと憤怒する声が上がっていますが、マナーのプロはどのように考えるでしょうか。

車いすユーザーの駐車スペースに関する投稿が先日、SNS上で話題になりました。きっかけは「(車いす用スペースに)幅寄せして駐車されたら、車いすが近づけられないし、車に乗れません」「なぜ身障者の駐車スペースがあるか停める前に考えてみてください。店舗出入口に近いからという理由ではないのです」という投稿。これに対し「自分さえよければそれでいいと思ってるんでしょうね」「身障者スペースへの理解が進んでいない証拠」「車いすもだけど、松葉杖もつらいものがあるよね」など、さまざまな声が上がっています。
これについて「マナーのプロ」の見解とはどのようなものでしょうか。オトナンサー編集部では「マナーは互いをプラスにするもの」をモットーに、国内外の企業や大学などで人財育成教育やマナーコンサルティングを行うほか、NHK大河ドラマなどのドラマや映画で俳優や女優へのマナー指導を行い、日常生活における円滑な人間関係の構築などに関するマナー本が国内外で70冊以上(累計100万部超)のマナーコンサルタント・西出ひろ子さんに聞きました。
前後左右、360度の確認を忘れずに
Q.車いす用スペースの隣、あるいは付近に駐車する場合、どんなことに気を付けるべきでしょうか。
西出さん「すべての車両に対し、枠線によって個々のスペースが区切られている駐車スペースの場合はこの枠線に従い、決められたエリアにきちんと駐車することです。車いす用スペースとその隣のスペースを枠線で区切る際には、その枠内に停めれば車いすの出入りに支障をきたさない計算がされていると思います。一方、車いす用スペースの枠線があり、その他の車両スペースに枠線がない駐車場の場合は、今回の投稿者もおっしゃる通り、車いす用スペースに幅寄せして停めない配慮が必要です。車を停める前に全体を見渡し、空きが多いようであれば、車いす用スペースから少し距離のある位置に停車する気配り、心配りも大切です。満車でどうしてもそこしか停めるスペースがない場合は、幅寄せすることなく、余裕を持って車いすが通れるスペースを確保できるかどうか、確認をした上で停めましょう。一方、これらの配慮はもちろん必要ですが、車いす用スペースをなるべく広く使ってもらえるようにと、自分の車を反対側に寄せすぎると、今度は別の車に迷惑をかけてしまう可能性もあります。前後左右の確認を怠らず、360度を見回し、それぞれに配慮できるようになる日頃からの心がけと意識が大切です」
Q.車いす用スペースに幅寄せして駐車している車を見かけた場合、どのように対処するのが適切ですか。
西出さん「幅寄せしている車のドライバーがその場にいれば、声をかけて移動を促す方法もあると思います。しかし、ほかのドライバーから声をかけられることは、ややもすると出過ぎている印象を与えてしまい、注意された相手が不快に感じ、口論などのトラブルの原因にもつながりかねません。そういった車を見かけた時は、駐車場の管理者がその場にいれば、事情を説明して声かけをしてもらったり、場合によっては車のナンバーをアナウンスしてもらって移動をお願いしたりするなど、管理者に対処を委ねるのがベストでしょう。自分自身がその当事者や関係者であれば、もちろん、直接その旨を伝えて出入りしやすくなるスペースを作ってもらいます」
Q.その他、駐車場に車を停める際に注意すべきことはありますか。
西出さん「前述しましたが、利用の際には360度の目配り、気配り、心配りをすることを前提に、前後左右の車や、これから停めるであろう車に配慮することが大切です。また、決められた枠線とスペースを守り、線からはみ出さないようにまっすぐ入れるのが基本。さまざまな人が利用する場ですから、ルールと基本を守ることが重要であり、一人一人の相手を思いやる心がけがトラブルを未然に防ぐことにつながると思います。自分には関係ないと思うことにも心を寄せて、お互いに配慮し合うことでトラブルのない社会になっていくことを願います」
(オトナンサー編集部)
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