赤ちゃんの“夜泣き”対策で「睡眠薬」処方、飲ませても問題ない? 副作用は?
乳児の「夜泣き」が激しいと、寝不足などで、親は日常生活に支障をきたします。そこで、乳児に睡眠薬を処方する病院があるようですが問題ないのでしょうか。

親が乳児の「夜泣き」が激しいことを心配し、病院に相談すると、乳児に睡眠薬が処方されることがあるそうです。夜泣きが激しいと親は深刻な寝不足となり、日常生活にも支障をきたす可能性もあります。そのため、診察した医師が処方するのだと思われますが、赤ちゃんに睡眠薬を処方することに問題はないのだろうかと不安になります。乳児に睡眠薬を飲ませても問題ないのか、産婦人科医の尾西芳子さんに聞きました。
医療行為としては禁止されていない
Q.乳児に睡眠薬を処方することは禁止されていないのでしょうか。
尾西さん「乳児に睡眠薬を処方すること自体は、医療行為としては禁止されていません。ただし、夜泣きの対策や、電車などの公共交通機関に乗るときに静かにしてほしいという理由から処方することは全く推奨されません」
Q.乳児に睡眠薬を処方するのは、どのようなときですか。
尾西さん「病院で乳児の検査や治療を行うとき、眠らせた方がよい場合に、医師の監視のもとで処方することがほとんどです。ただ、医師によっては、激しい夜泣きなどで悩む母親の悲痛な訴えに対し、何かしてあげたいという思いで睡眠薬を処方するケースもゼロではないようです」
Q.乳児に処方する睡眠薬は大人用と同じ成分なのでしょうか。それとも、乳児向けの睡眠薬が存在するのでしょうか。
尾西さん「成分としては大人用と同じです。乳児向けの睡眠薬があるわけではありません。ただし、睡眠薬というよりは、眠気を副作用として持つ抗アレルギー剤が使われることが多いです」
Q.乳児に睡眠薬や抗アレルギー剤を飲ませても、副作用などの問題は起きないのでしょうか。
尾西さん「副作用が起きる可能性はあります。乳児は体重によって適正な薬の量も異なり、投与量を間違えると呼吸が止まってしまう危険性もあります。また、薬によって眠る段階までいかず、だるさや不快感が現れることもあり、その場合、余計に夜泣きがひどくなることもあり得ます」
Q.夜泣きが激しく悩んでいるとき、病院からわが子に睡眠薬や抗アレルギー剤が処方された場合、飲ませた方がよいのでしょうか。飲ませない方がよいのでしょうか。
尾西さん「薬を飲ませたくなる気持ちもよく分かります。しかし、睡眠薬や抗アレルギー剤は薬です。先述のような副作用も考えられるので、安易に手を出すのはやめた方がよいでしょう。どうしてもという場合は、なるべく副作用の少ない、気持ちを静める漢方薬などの処方をお願いしてみるのもいいでしょう」
Q.夜泣きへの対処法はネットなどにも数多く見られます。夜泣きが激しく、寝不足などで体調に支障をきたす可能性がある親はどのようにして、体調保持に努めればよいでしょうか。
尾西さん「夜泣きをする子どもに悩む親御さんは多くいらっしゃいます。親も眠れないということで、日中の生活もままならない状況だと思います。親が疲れ果ててしまい、子どもへの愛着を感じなくなったり、うつになったりしては大変です。まずは、1人で抱え込まず、家族で話し合い、交代で子どもの面倒を見て、休める時間を確保することです。
また、地域の子育て支援サービスなどを利用し、できるだけ、休息の時間をつくることも考えましょう」
(オトナンサー編集部)
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