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「マウントを取る人」の心理とは? 取られたら、どう対処する?

自分の方が優れていることを会話の中でアピールする、いわゆる、「マウントを取る」人がいます。マウントを取りたがる心理や会話時のポイントについて、心理カウンセラーに聞きました。

マウントを取りたがる人の心理とは?
マウントを取りたがる人の心理とは?

「他人よりも優位に立ちたい」と思う気持ちなどから、自分の方が優れていることを会話の中でアピールして満足する――。このような、いわゆる、「マウントを取る」人に接したことがある人は少なくないと思います。相手にマウントを取られることは気分のいいものではありませんが、実際にそうした人と会話をするとき、どのように対応するのがよいのか迷うこともあるでしょう。

 マウントを取る人について、「友達がこのタイプです」「会話していると疲れてしまう」「マウントを取られたとき、どうすればいい?」など、さまざまな声があります。マウントを取る人の心理やマウントを取られたときの対処法について、心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

教育や周囲の環境が影響

Q.そもそも、「マウント(を取る)」とは心理学的にどのような感情・状態のことをいうのですか。

小日向さん「『マウントを取る』とは、自分の優位性を相手や周囲に示す行為のことです。同様の意味で『マウンティング』ともいわれます。動物が自分の強さを示すために他のものに馬乗りになることを『マウント』といいますが、そこから派生して、『あなたより自分の方がすごいです』と言動でアピールすることを俗に『マウントを取る』と呼ぶようになりました。明らかに自慢をしてくるのではなく、遠回しにさりげなく、優位性を示してくることが多いのが特徴です」

Q.相手に対してマウントを取る(取りやすい)性質は、どのように形成されるのでしょうか。

小日向さん「マウントを取りやすくなる人格は先天的なものより、教育や周囲の環境といった後天的な要素の方が強いと思います。例えば、学歴や社会的地位、経済力などが高い人だけをあがめる親の価値観は当然、子どもの教育に影響しますので、そうした親に育てられた子どもが親が認めた価値観を身に付けたとき、それがない人を見下すパーソナリティーが形成されます。

また、そうした教育者の価値観に加えて、自分の周囲に勝ち負けを重視する競争原理が強く働いている環境があることも要因となり得るでしょう」

Q.マウントを取りがちな人とそうでない人の違いは何だと思われますか。

小日向さん「最も大きな違いは『ずる賢さ』の有無です。ずる賢さがなければ、受け取る側も『マウントを取られた』とは感じず、ただの『自慢話が多い人』だと感じるでしょう。ずる賢さが加わって、一見、自慢話と分からないように話してくるがゆえに『マウント』という言葉が人間のキャラクターに対して使われるようになったのではないでしょうか。

また、『マウントを取る/取られた』といった話題は女性の方が多い印象がありますが、これは少しずつ変わってきているとはいえ、まだ、女性の方が社会的に承認される場所が少ないために、ママ友や女友達というサークルの中で承認欲求を満たす構造があるからではないかと推測します」

Q.家族や友達、職場にマウントを取る人がいる場合、「話していると疲れる」「いい気分にはならない」など、ネガティブな印象を持っている人が少なくありません。こうした人と接するときや実際にマウントを取られたとき、どのように対応するのがよいのでしょうか。

小日向さん「話していて疲れる人とは距離を置く、あるいは、おだてながら適当に聞き流すというのが無難な対処法ではあります。しかし、なかなか切れない関係性もあると思いますし、不快な話を聞いてばかりでストレスが限界だという人もいるでしょう。その場合、哲学的な言葉で切り返してみる方法があります。

つまり、『物事の本質をズバリと言う』ということです。マウントを取る人は勝ち負けにこだわっているので、『でも、結局、死ぬときに幸せと思えたらそれが勝ちだと思う』と切り返す、あるいは逆に『人生って勝ち負けじゃないよね』と切り返すのもありでしょう。マウントを取るタイプはこうした真理を言われると何も言えなくなることが多いです」

Q.マウントを取りがちな人は、その性質を自覚できるものなのでしょうか。またもし、その性質を改善したいと思ったとき、実際に改善することは可能ですか。

小日向さん「マウントを取りがちな人が、その性質を自覚していることはほとんどないと考えてよいと思います。ただ、近しい人から厳しく言われて改善をしたいと思ったのであれば、徹底的にマウント行動に制限をかけましょう。例えば、SNSでの発言がマウント行為だとしたら、SNSをやめる、普段の発言にマウントが多いのであれば、マウントを取りやすい『学歴・収入・社会的地位(職業)』の3つに関することは自分から話題にしない、話題が出ても乗らないことを徹底してください。

女性の場合は、パートナーのそれについても同様です。制限することによって強いストレスを感じたとしたら、それほど、自分はマウント行為で悦に入っていたのだと反省してください。それを戒めとして、どう行動変容できるかが、その後の円滑な人間関係に影響してくるでしょう」

(オトナンサー編集部)

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小日向るり子(こひなた・るりこ)

心理カウンセラー

カウンセリングスペース「フィールマインド」代表。出版社で働きながらボランティアで電話相談員を始めたことが、カウンセリングの世界に入るきっかけに。資格取得後、行政機関でのセクハラ相談員を経て、2012年に独立。2019年4月現在、約3500件の相談実績を持つ。メディア、ネットなどで心理・恋愛系コラムを多数執筆。フィールマインド(http://feel-mind.net/)。

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