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コロナで表面化? 人はなぜ「不公平感」を抱き、どうしたら緩和できるのか

緊急事態宣言の規制の範囲や政府・自治体の支援の在り方で、さまざまな「不公平感」が表面化しています。そもそも、人はなぜ、不公平感を抱くのでしょうか。

「不公平感」を和らげるには?
「不公平感」を和らげるには?

 コロナ禍の現在、緊急事態宣言の規制の範囲や政府・自治体の支援の在り方について、さまざまな「不公平感」が表面化しています。コロナ禍における不公平を訴えるSNSの投稿や、ポータルサイト上の記事のコメントを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

 しかし、そもそも、不公平感はコロナ禍の現在に限らず、学校や職場など日常生活の中で誰しもが抱く可能性がある心理だと思います。なぜ、人は不公平感を抱き、和らげるにはどうしたらよいのでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

やむを得ない他者との比較

Q.なぜ、人は不公平感を抱くのでしょうか。

小日向さん「人は1人では生きられないからです。世の中で生活をしていくとき、人は社会の中で他者と共存する必要があるわけですが、そのためにはどうしても『社会の一員としての私はどのような立場なのか』を認識する必要があります。つまり、『あの人よりも待遇がよい』『あの人よりも不利な待遇である』などと他者と比較し、自分の立場がどうなのか考えてしまう感情がどうしても生まれるのです。

そのとき、他者よりも自分の待遇が悪い、不利な待遇を受けていると感じるのが不公平感です。従って、理論上は自分を取り巻く社会が狭ければ狭いほど、比較対象である他者が少なくなるため、不公平感を抱くことも少なくなるといえるでしょう」

Q.不公平感を抱くことは、ごく自然な心理ということでしょうか。

小日向さん「不公平感を抱くこと自体は自然な心理だといえます。不公平感をなくすためには、他者と自分を比較しないなど相対的に物事を見なければよいのですが、先述したように、程度の差こそあれ、人は物事を相対的に見るものです。物事を相対的に見ると、どうしても不公平感を抱く可能性が生まれますし、抱かないようにすることは難しいと思います」

Q.現在、緊急事態宣言の規制の範囲や行政の支援の在り方などについて、不公平を訴える声が多く上がっています。コロナ禍の社会情勢は不公平感を抱きやすいのでしょうか。

小日向さん「抱きやすいと思います。新型コロナウイルスのような、ある種の不可抗力が要因で社会情勢が逼迫(ひっぱく)したときは公的援助の介入は不可欠ですが、そもそも、公的援助は自分たちが働いて得た収入や築いた資産から納めた税金です。

従って、公的援助の存在を感じなくても、自分たちの生活が回っているときはよいのですが、そうでないときは、その使い道が平等であることが個々にとって大きな関心事となります。そのため、コロナ禍によって、経済的困窮や将来の不安が増大している人はより強く、不公平感を抱きやすくなっているといえます。

また、新型コロナの話題は報道で多くの時間が費されたり、個人が気になった情報をネット上で自由に発信・拡散したりしており、情報量が多く、伝達が速いのが特徴です。そのことが他人と自分とを相対的に見る機会を増やしていると思います。比較対象が多ければ多いほど、不公平感は強くあおられるものです」

Q.不公平感を抱え続けるのは心理的に健全ではないように思います。抱き続けると、どのような悪影響がありますか。

小日向さん「不公平感を抱え続けるとストレスがたまり、精神的に健全でない状態となります。そして、そのストレスが向かう先はその人のパーソナリティーによって、2つのタイプに分かれると思います。

1つ目は自分に向かうタイプです。『自分なんかいい待遇は受けられない』といった卑屈な感情、『自分は不当な扱いを受けても仕方がない』といった自虐的な感情がそれに当たります。2つ目は他人・社会に向かうタイプです。『自分がこんな不当な扱いを受けるのは○○が悪いからだ』といった他罰的な感情です。

これら正反対の2つのタイプに共通していえるのは『では、この不公平感をどのようにして解消していくのか』を考えようとせず、ひたすら抱えこむということです。それでは、意欲や向上心を失っていきます」

Q.不公平感を和らげる方法、もし可能であれば、解消する方法を教えてください。

小日向さん「先述したように、不公平感は自分を取り巻く社会が狭ければ強くなりません。そして、現在では、社会という概念は他者とのリアルな接触だけではなく、ネット上の情報のインプットやアウトプットも含まれます。従って、不公平感を強く感じるときは、ネットも含めた自分の社会を狭くすることを心掛けてください。

そして、誰かや何かと比べて得られる相対的幸福感は比較対象によって簡単に崩れるので、自分一人で幸せと感じられるものを見つけましょう。個人的には、山や海のような自然に接することをおすすめします。『社会や自分がどうであれ、いつもそこに在るもの』に包まれることは安心感を醸成してくれます。そしてさらに、自然と共存する自分の存在に感謝する生活が絶対的幸福感につながっていくのです。

身近な物や自然(太陽など)でもいいので、日々、何かにきちんと感謝するという生活を意識してみてください」

(オトナンサー編集部)

小日向るり子(こひなた・るりこ)

心理カウンセラー

カウンセリングスペース「フィールマインド」代表。出版社で働きながらボランティアで電話相談員を始めたことが、カウンセリングの世界に入るきっかけに。資格取得後、行政機関でのセクハラ相談員を経て、2012年に独立。2019年4月現在、約3500件の相談実績を持つ。メディア、ネットなどで心理・恋愛系コラムを多数執筆。フィールマインド(http://feel-mind.net/)。

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