都、ゴルフ練習場やバッティングセンターに「無観客」要請 そもそも観客はいる?
緊急事態宣言を受け、東京都はさまざまな施設に「休業要請」などを出していますが、ゴルフ練習場やバッティングセンターが「無観客開催」の対象になっています。そもそも、「観客」がいるのでしょうか。

新型コロナウイルスが再び猛威を振るう中、東京など4都府県に4月25日、緊急事態宣言が発令されました。東京都は一定規模以上の百貨店(生活必需品売り場除く)や映画館、パチンコ店など幅広い施設に「休業要請」を出し、劇場や野球場には「無観客開催」を要請しています。
その中で不可解なのが、ゴルフ練習場やバッティングセンターが「無観客開催」の対象になっていることです。そもそも、ゴルフ練習場やバッティングセンターで「観客」が存在するのでしょうか。「古書店には休業要請、新刊書店は営業可」といった区分への疑問も含め、東京都総務局の担当者に聞きました。
都「見たことはないが、国から要請」
Q.バッティングセンター(バッティング練習場)は屋外施設の場合、「無観客開催を要請」となっていますが、バッティングセンターに「観客」がいるのでしょうか。
担当者「疑問に思われるのは分かります。正直に言って、私もバッティングセンターで『観客』がいるのを見たことは順番待ちの人などを除いて、ありません。実はバッティングセンターなどの『無観客開催』は国から要請するように方針が示され、国と協議した結果です。
われわれも『無観客開催とはどういうことですか』と国に質問をしたのですが、運動施設は利用者が普通に使う分には構わない、ただ、観客を入れるのはやめてくださいということでした。競技者でもない人が見に来るのは、客が増えるのでやめてくださいという説明です。私は見たことはありませんが、オーディエンスが10人、20人いるのはダメだということだそうです」
Q.ゴルフ練習場も屋外施設の場合、「無観客開催を要請」となっています。ゴルフ練習場に「観客」がいるのでしょうか。
担当者「私は実際の状況は見たことはないのですが、バッティングセンターと同様だと思います。これも国からの要請と協議の結果で、ゴルフ練習場もゴルフの練習をする人が利用するのは構わないということです。
区分が分かりにくいと思いますが ゴルフ練習場やバッティング練習場を含む『運動施設』は屋外施設の場合、利用者が普通に使う分は構わないということです。例えば、野球場で野球をするのは構わない、観客を入れるのはやめてくださいという要請です。ただ、観客席がある所は分かりますが、ゴルフ練習場には観客席は普通ないですし…」
Q.例えば、バッティング練習をしている子どもに親が付き添うのはいいのでしょうか。
担当者「子どもが練習しているとき、保護者が見ているのはもちろん大丈夫です。国としては、いろいろな場所で人流を発生させたないための措置を取りたいということのようです」
Q.テーマパークや遊園地にも「無観客開催」を要請しています。こちらの「観客」とはどういうことでしょうか。乗り物などに乗ることはできるのでしょうか。
担当者「こちらは、一般の入場者は入れないようにという意味です。国は、テレビのバラエティー番組の撮影やドラマのロケなどの場所として、お客さんを入れない状態での営業ならよいという説明をしています。しかし、事実上、休業に近いですよね。
そのほか、『劇場』も原則、無観客開催を要請しているのですが、オンラインでの公演配信はOKです。劇団の人たちから、『練習だけでもしたい。練習の場まで奪わないでほしい』という声もあって、休業要請ではなく無観客開催の要請となりました」
Q.休業要請の場合、国が財源の一部を負担する「協力金」の支給対象になります。実質的な「休業要請」を「無観客開催の要請」と言い換えることで、協力金を出さないように線引きしたのではありませんか。
担当者「そういう見方があることは承知していますが、そこは何とも言えないです。あくまで国の方針であって、都から国に聞きましたが答えてくれませんでした。『イベント開催的な性質を持つ施設に関しては無観客で整理をした』という説明のみです。
なお、小規模な劇場などを運営する中小企業を中心に、都独自の支援金制度を設けています。国は『無観客開催の要請であって、(施設を)開けることは認めているので、国の財源の協力金は使用できない』ということなので、都独自で支援しようというものです。
規模などの条件はありますが、都としては『無観客開催』の要請をして、休業せざるを得ない所に関しても都の単独予算で一定程度支援金を出す予定です。もちろん、通常営業する場合を考えれば、かなり足りないとは思いますが…」
Q.古書店(都の区分表では「古本屋」)には休業要請(床面積合計1000平方メートル超の場合)や休業の協力依頼(同1000平方メートル以下)を出す一方で、新刊書店には要請や協力依頼をしない理由を教えてください。
担当者「その点もお叱りをいろいろ頂いています。われわれの考え方としては、古書店は『古物商』相当の扱いということです。『古物』の中の本を取り扱う店ということで、古物は生活必需品には当たらないという考え方です。例えば、ブランドもののバッグや骨董(こっとう)品をイメージしてもらえればよいかと思います。なお、古物商の中でも、質屋さんは生活に必須の人もおられるということで休業要請や協力依頼の対象から除外しています。
区分が分かりにくいかと思いますが、多種多様な業種がある中、どこかで線を引かないといけないのでこういう区分になっています。それぞれの事業者さんの気持ちを考えると心苦しいのですが、何かしらの線を引かないといけません。ご協力をお願いいたします」
(オトナンサー編集部)
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