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ご飯にみそ汁「ねこまんま」は行儀が悪い? 当の“猫”にとってはいい食事?

猫の栄養バランス上は不適

 次に、獣医師の増田国充さんに「ねこまんま」と猫の関係について聞きました。

Q.「ねこまんま」という名前は、昔は猫に与えていたからとの説があるようですが、実際、猫に与えていたのでしょうか。

増田さん「その昔、猫に『ねこまんま』と称するものを与えていることが非常に多くありました。猫は元々、自然の中では自ら獲物を狩り、その肉を食料としていました。一方で古来、人間の生活の中に溶け込む存在としても親しまれてきました。ただ、猫に食べ物を与えることは昔から行っていたものの、猫にとって最適な栄養を人間が供していたかというと、必ずしもそうではなかったと思われます。

猫専用のフード(キャットフード)ができたのも20世紀半ば以降であり、徐々に猫に適したものに改良を重ねていきました。それまではどちらかというと『人間の食べた残り物』を与えるという感覚が広く浸透していたため、米飯にみそ汁をかけたものや、『魚が好きだから』ということで、かつお節などをトッピングしたものを与えていたと考えられます」

Q.ご飯にみそ汁をかけたもの、もしくは、ご飯にかつお節をかけた「ねこまんま」は猫にとって、よい食べ物なのでしょうか。

増田さん「猫にとってよい食事かといわれれば、『NO』です。ヒトと猫とでは必要とする栄養組成が異なります。まず、ヒトは雑食(植物も肉類もどちらも食べる)ですが、猫はほぼ肉食といっても過言ではありません。つまり、ヒトに比べて炭水化物の要求量が少ないのです。ねこまんまのほとんどは米ですので、圧倒的に炭水化物(糖質)過多になります。

さらに、みそ汁は塩分が猫の必要とする量を大幅に超える可能性が考えられます。かつお節については、猫が必要とするミネラルバランスに変化を与える恐れがあるなど、総じて、猫の栄養バランスに適したものではありません」

Q.人間が日常的に食べているものの中で、猫に与えても問題ない食べ物の例を教えてください。

増田さん「猫は肉食の動物ということが大前提です。そのため、野菜や穀物の消化はヒトほど効率がよいわけではありません。われわれが食べているものを猫にあげたいという気持ちは十分に理解できますが、注意が必要です。先述の通り、肉が主食の動物ですので、鶏肉は与えても大きな支障はないものと考えられます。ただ、生で与えることは安全上問題があり得ます。ゆでてから与えるのが望ましいでしょう。部位は、ささ身やもも肉、胸肉も加えてよいかもしれません。

魚も同じく、タンパク源として猫に与えてよいものですが、煮干しのような乾燥した魚は適しません。また、魚の骨が消化器に刺さるトラブルが時折見られますので、骨の処理を行いましょう。人間が食べてよい生食用の魚であれば、生でも大体問題はありません。ただし、イワシやアジなど『青魚』と呼ばれるものは食べ過ぎると『黄色脂肪症』という病気になる可能性があり、与え過ぎは避けましょう」

Q.猫にふさわしい本当の「ねこまんま」とは、どのような栄養を備えた、どのような食べものでしょうか。

増田さん「猫にとって必要な栄養をバランスよく含んでいる食べ物となると、やはり、キャットフードが適していることになります。中でも『総合栄養食』と記載されているものを使用することが重要です。

もし、手作り食で猫の健康を維持しようと思ったら、猫の栄養学をきちんと理解することが大切です。特に6大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、水)の配合についての考慮が大切です。タンパク質がヒトより多めに必要で、炭水化物は消化に負担がかかるという、猫の栄養上の特性を念頭に置きましょう。

猫の栄養学の理解はハードルが高いので、専門家の著した手作りご飯のレシピ(獣医師が監修していると、より安心です)を参考に、例えば、1週間の中で1日とか、肩肘張らないところから実践するのも良案と思います。ただし、基礎疾患があり、獣医師から食事療法が指示されている猫の場合は、そちらを優先すべきです。医食同源はヒトも猫も同じですので、健康で長生きするために、食べ物には十分気を付けてあげたいものです」

(オトナンサー編集部)

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齊木由香(さいき・ゆか)

日本礼法教授、和文化研究家、着付師

旧酒蔵家出身で、幼少期から「新年のあいさつ」などの年間行事で和装を着用し、着物に親しむ。大妻女子大学で着物を生地から製作するなど、日本文化における衣食住について研究。2002年に芸能プロダクションによる約4000人のオーディションを勝ち抜き、テレビドラマやCM、映画などに多数出演。ドラマで和装を着用した経験を生かし“魅せる着物”を提案する。保有資格は「民族衣装文化普及協会認定着物着付師範」「日本礼法教授」「食生活アドバイザー」「秘書検定1級」「英語検定2級」など。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yukasaiki)。

増田国充(ますだ・くにみつ)

獣医師

北里大学卒業。愛知、静岡県内で勤務後、2007年にますだ動物クリニックを開院。一般診療のほか、専門診療科として鍼灸や漢方をはじめとした東洋医療を行っている。国際中獣医学院日本校事務局長兼中国本校認定講師、中国伝統獣医学国際培訓研究センター客員研究員、日本ペット中医学研究会学術委員、AHIOアニマルハーブボール国際協会顧問、専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師。ますだ動物クリニック(http://www.masuda-ac.jp)。

コメント

1件のコメント

  1. ねこまんまが行儀悪いということは聞いたことがない