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琴貫鉄引退巡る発言も波紋…「大相撲」初場所開催は適切だった?

感染対策は大丈夫?

Q.別の話になりますが、ラグビーの全国大学選手権の決勝戦(1月11日)には、大規模イベントの上限と政府が定めていた5000人を大幅に上回る約1万2000人が訪れました。チケット販売済み分の入場は政府も容認していたとはいえ、感染対策は問題なかったのでしょうか。

江頭さん「政府が定めた『5000人』を超える観客を入場させたからといって、感染対策が不十分だったとは必ずしもいえません。例えば、収容人数1万人のスタジアムに5000人が入場した場合と7万人のスタジアムに5000人が入場した場合とでは、着席時の観客同士の距離は大きく異なります。つまり、会場の規模によって感染危険性は変わるのです。

また、大型スポーツイベントの開催にあたり、主催者は基本的に、政府から示された指示を守るなど安全性を優先しており、開催地の自治体や住民感情にも配慮している例がほとんどです。

収益の大部分をチケットの売り上げに頼っているスポーツイベント、つまり、テレビ中継されないスポーツイベントは、コロナ禍でも観客を入れて試合を開催する必要があります。例えば、日本には『スモールリーグ』といえる、バスケットボールやアイスホッケーなどの競技団体が存在します。これらのリーグにとって観客減少は死活問題で、裾野が広がりつつあったプロスポーツ選手が減少してしまう危険性があります。

不要不急の外出ができなくなった今、スモールリーグの試合をテレビやインターネット経由で中継し、収益を上げるビジネスモデルを構築する必要があります。サッカーのプレミアリーグやアメリカのメジャーリーグが無観客でも開催するのはテレビ放映権収入で経営が成り立つからです。

幸いにも日本では、短時間・低価格でウイルス検査ができるサービスが登場するなど、新型コロナウイルス対策に有効な技術が次々と生まれています。こうした技術を活用し、一日でも早く活気あふれるスポーツイベントが開催されることを望みます」

(オトナンサー編集部)

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江頭満正(えとう・みつまさ)

独立行政法人理化学研究所客員研究員、一般社団法人日本スポーツマンシップ協会理事

2000年、「クラフトマックス」代表取締役としてプロ野球携帯公式サイト事業を開始し、2002年、7球団と契約。2006年、事業を売却してスポーツ経営学研究者に。2009年から2021年3月まで尚美学園大学准教授。現在は、独立行政法人理化学研究所の客員研究員を務めるほか、東京都市大学非常勤講師、一般社団法人日本スポーツマンシップ協会理事、音楽フェス主催事業者らが設立した「野外ミュージックフェスコンソーシアム」協力者としても名を連ねている。

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