オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

「ワイドナショー」が松本人志の苦言を放送 フジテレビはなぜ“自己批判”をしたのか

フジテレビに批評精神は根づくのか

 フジテレビの社員たちは、松本さんの批判と、それを放送したスタッフの勇気に、拍手を送っていると聞きました。テレビマンには優秀な人材が多いだけに、フジテレビやテレビ業界の置かれた厳しい状況を理解していて、「何とかしたい」と思っているのです。

 しかし、長年メディアの頂点として実績を挙げてきた歴史や、多くの企業との連携で成立する事業形態上、「一社員の力では何も変えられない」のが現実。だから現場のスタッフたちは「大物の松本さんに代弁してもらったほうがよい」「それがきっかけで世間の声が大きくなって変われたら」という希望を抱いているのです。事実、私のような外部の人間がフジテレビの社員と話していると、「会社を何とかしたい」という熱意をぶつけられ、「悪いところはどんどん批判してください」と求められる機会がよくあります。

 民放各局の中でフジテレビが最も番組批評に熱心なことはあまり知られていません。それぞれ自己批評番組を放送していますが、フジテレビは質量ともに他局を圧倒。自局番組への視聴者や識者の批判を紹介するほか、他局の番組を褒め、テレビ局全体のことを考えた提言をするなどの真摯なスタンスで番組向上に努めています。もしかしたら「ワイドナショー」の自己批判も、そのスタンスが社内に浸透しつつあることの兆しなのかもしれません。

1 2 3 4

木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、新番組と連ドラはすべて視聴するなど1日のテレビ視聴は20時間超(同時含む)。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

コメント