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情報解禁続く秋ドラマ、最大の注目は3作企画の「秋元康」

各局の秋ドラマが出そろい、日本テレビ「真犯人フラグ」、TBS「この初恋はフィクションです」、テレビ東京「じゃない方の彼女」の3作を手がける秋元康さんに注目が集まっています。

秋元康さん(2021年2月、時事通信フォト)
秋元康さん(2021年2月、時事通信フォト)

 このところ、民放各局の番組改編会見が行われ、秋の新番組が次々に発表されています。中でも、会見の花形は出入りの少ないバラエティーではなく、季節ごとに新作が放送されるドラマ。民放各局の秋ドラマがほぼ発表され、ネット上にはさまざまな反響が飛び交っています。

 民放各局の秋ドラマが出そろった中で、ひときわ目を引くのが秋元康さんの存在。今秋は日本テレビ「真犯人フラグ」で企画・原案、TBS「この初恋はフィクションです」で企画・原案、テレビ東京「じゃない方の彼女」で企画・原作を手がけることが発表されています。

「いずれも10月スタート」であり、しかも、「3つのテレビ局で放送する」という異例のケースであることは間違いありません。それぞれ、秋元さんはどんな狙いを持ち、どんなドラマを仕掛けるのでしょうか。

他のドラマとは一線を画す異色作

「真犯人フラグ」は来年春までの2クール放送で、総勢30名超の大量キャストが出演する大作。同じく秋元さんが企画・原案を手がけた「あなたの番です」以来の2クール放送であり、同じオリジナルの長編ミステリーであるため、「再び、考察合戦で盛り上がるのではないか」と言われています。

「この初恋はフィクションです」は極めて珍しい深夜の帯ドラマ。毎週月〜木曜の深夜0時40分~0時55分に放送され、脚本を「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)、「私の家政夫ナギサさん」(TBS系)などを手がけた徳尾浩司さんが担当します。さらに、主演は女優オーディション番組「私が女優になる日_」で1位に輝いたメンバーが務め、YouTubeで全話配信されるなどの希少さもあり、スタート直後から注目を集めるでしょう。

「じゃない方の彼女」は、真面目な既婚男性が天然魔性系女子大生に振り回される姿を描く不倫コメディー。民放各局がさまざまな不倫ドラマを放送する中、「クスッと笑える」という異色のコンセプトであり、主演を濱田岳さんが務めることが発表されています。

 2クールの長編ミステリー、深夜の帯ドラマ、笑える不倫コメディー…いずれも他のドラマとは一線を画すオリジナリティーがある作品ばかり。それは秋元さんが企画・
原作・脚本を担い、現在放送されているジャンル不明のドラマ「漂着者」(テレビ朝日系)も同じです。

12月には「あな番 劇場版」も公開

 秋元さんは「真犯人フラグ」の放送に向けて、「さあ、あなたは、誰に『真犯人フラグ』を立てますか?」と視聴者にメッセージを送っていました。まるで挑戦状を送るように、考察合戦を促しているように見えます。

「この初恋はフィクションです」では「まだ、顔が知られていない彼女たちだからこそ、リアリティーのある女子高生を演じられるんじゃないかと思っています」とコメントしていました。ドラマ初出演の初々しさと、帯ドラマで少しずつ成長していく新人女優の姿を見せようとしているのではないでしょうか。

「じゃない方の彼女」では「とある男性の前に、2人のすてきな女性が現れたら、どちらが『である方』であり、どちらが『じゃない方』になるのか?」と問いかけるようにコメント。単にコメディーとして笑わせるだけでなく、視聴者が自分に置き換えて考えてしまうような物語になりそうです。

 秋ドラマがクライマックスを迎える12月10日には「あなたの番です 劇場版」が公開されます。もちろん、こちらの企画・原案も秋元さん。ドラマとは異なる新たな結末が予告されているだけに、この秋から年末にかけて、秋元康さんの名前が何度となくメディアとSNSを騒がせるでしょう。

(コラムニスト、テレビ解説者 木村隆志)

木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間30本前後のコラムを寄稿するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアー、人間関係のコンサルタントとしても活動中。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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