月9、大河、紅白…俳優・大泉洋が最強の“モテ役者”となったワケ
フジテレビ系連続ドラマ「元彼の遺言状」に出演する大泉洋さん。「鎌倉殿の13人」「紅白歌合戦」など近年多くの作品、番組で起用されるその魅力に迫ります。

綾瀬はるかさんの主演ドラマ「元彼の遺言状」(フジテレビ系)が4月11日に始まります。この作品は、奇妙な遺言をめぐるミステリー。ヒロインと組み、莫大(ばくだい)な遺産を山分けしようとする男を大泉洋さんが演じます。
大泉さんといえば、今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK総合)にも、源頼朝役で出演中。鎌倉幕府の創業者として知られていますが、3人の女性から思いを寄せられる“モテモテ”ぶりも描かれています。この3人を演じるのは小池栄子さん、新垣結衣さん、江口のりこさんという面々です。
盟友・三谷幸喜の存在
そんな大泉さんはここ数年、役者としてもモテモテです。昨年末には劇団ひとりさんが監督・脚本を手掛けた映画「浅草キッド」に柳楽優弥さんとダブル主演。若き日のビートたけしさんが唯一の師匠と仰ぐ「伝説の芸人」深見千三郎さんを演じました。
また、その1年前には福田雄一さんの監督・脚本による映画「新解釈・三國志」に主演。いわゆる福田組へは初参加でしたが、福田さんからの熱心なオファーによるものだったそうです。
本業以外では、昨年、おととしと2年連続で「NHK紅白歌合戦」の司会を担当。まさに、日本中が知る存在となりつつあります。
というように、話題性やステータスの高い仕事が続々と舞い込み、個性的な実力派クリエーターたちからも引っ張りだこというのが、最近の大泉さん。そんな状況を象徴するのが、三谷幸喜さん脚本の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でしょう。
いわゆる「三谷大河」は、2016年の「真田丸」に続き、今回が2作目。大泉さんは、その両方に重要な役どころで出演しています。その背景に存在するのは、両者の「盟友」とでも呼びたいような関係性です。
例えば、三谷さんはひと回り年下の大泉さんについて「彼が10年早く、もしくは僕が10年遅く生まれていれば、きっとどこかで出会って一緒に劇団を作っていたような気がして仕方ない」と語っています。
一方、大泉さんは「初めて会ったときから、三谷さんは僕の取扱説明書を熟読しているかのようでした」と言っています。そんな2人だからこそ、絶妙の意思疎通で、独特の味を出せるわけです。
では、その味とはどういうものかというと――。エッセイストの青木るえかさんが、こんな指摘をしています。「三谷幸喜の時代モノといえば、歴史上の偉人の偉業というのは、実はつまんないことに翻弄(ほんろう)されて右往左往した挙げ句、あんなことになっちゃっている、けど偉人たちはキメるところはキメる、人間的かつカッコいい、というもの」。ここで筆者は「真田丸」のある場面を思い出しました。
それは、大泉さん扮(ふん)する真田信之が、大坂の陣に参加しようとする家臣を止めようとした際、手がしびれて動かせなくなり、その様子を見た家臣が思いやりによるウソ芝居だと勘違いする、という場面です。
史実でも信之は「手の痛み」に悩まされていたようで、そこを巧みに利用したのでしょう。この場面は優れたコントのようでもあり、大河の笑いを一歩進めるものだと感心しました。
「ゆるキャラ」性を発揮?
そういう意味で、三谷大河の登場人物はどこか「ゆるキャラ」にも似ています。地元の偉人を今どきっぽくアレンジした系統のゆるキャラです。
どんな偉人にも情けないところやかわいげがあり、身近で親しみが持てる、というところを強調したいのでしょう。そんな意図をくみ取り、体現させる第一人者が大泉さんなのです。
しかも、大泉さんがその「ゆるキャラ」性を発揮するのは、三谷作品だけではありません。2018年の映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」では、全身の筋力が衰えていく進行性筋ジストロフィー患者の役で主演。自由奔放だが、どこか憎めないキャラクターをユーモラスに表現しました。
つまり、どんな難しいテーマでも分かりやすいエンタメにして、しかも感動させることができる、というところが、大泉さんが引っ張りだこになる要因だと言えます。そこにはもちろん、役者としてのスキルに加え、彼自身の性格も有効に働いているのでしょう。
全国区でのブレークを果たした頃には「北の明石家さんま」などと呼ばれ、そのほど良い脱力感は、かつての植木等さんや所ジョージさんとも重なります。が、最近の大泉さんが最も近いと感じられる芸能人は、中居正広さんです。
中居さんがSMAPを愛し、地元の友人関係を大事にしているように、大泉さんも「TEAM NACS」としての活動にこだわり、北海道とのつながりを保ち続けています。こうしたチーム愛と地元愛の強さが、業界内での信頼感やファンからの好感度にプラスになっているのではと思われます。
さらに、私生活では、夫であり父であるということも、ドラマやCMなどでの役柄によい影響をもたらしているのでしょう。
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