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コロナで日程決まらず…「国体」の歴史と目的、開催県優勝の理由は?

延期の鹿児島国体はどうする?

Q.鹿児島県の延期日程が決まらない状態が続いています。来年以降の開催が想定されていますが、もし早期開催を目指すとすれば。

江頭さん「国民体育大会の開催目的は2つです。1つ目は、2020年におけるスポーツ競技者の日本一を決めること。もう一つは、開催地である鹿児島県の経済波及効果、およびスポーツ施設の整備拡充です。

残念ながら、新型コロナウイルスの影響で、日本中から多くの観客とスポーツ競技者を集めることは現実的ではありません。一つの解決策として、日程を分散して行う方法が考えられます。例えば、陸上競技だけを1週間開催、その次の週に柔道だけを1週間開催…といった分散開催です。

競技者にとっては、日本一を決める大会が維持でき、宿泊施設や交通機関の渋滞も減るので、感染の危険性も下がるのではないでしょうか。観客もソーシャルディスタンスを守った少人数、もしくは無観客での開催として、テレビ放送を中心とした大会開催に切り替える方法です。

2020年の国体が開催されないことによって、自分のピークであるタイミングを逃し、日本一になるチャンスを失ってしまう競技者も存在するはずです。新しい取り組みとして、アスリートファーストで、2020年の日本一を決める大会を期待します」

Q.2023年の開催(名称は「国民スポーツ大会」に変更予定)が内定している佐賀県に対し、鹿児島県側が協力を要請し、「23年鹿児島、24年佐賀」という案も浮上しています。

江頭さん「すべての競技を同時に開催するのは、確かに理想的ではあります。水泳の競技者と陸上の競技者が国体で顔を合わせ、親交を深める。相互の練習方法や精神的な心構えなどを学び合う、といった効果が期待できるからです。

ただし、アスリートのことを考えれば、早期開催が理想です。分散開催によって、2020年の日本一を決める大会を行うことが望ましいと個人的には思います」

(オトナンサー編集部)

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江頭満正(えとう・みつまさ)

独立行政法人理化学研究所客員研究員、一般社団法人日本スポーツマンシップ協会理事

2000年、「クラフトマックス」代表取締役としてプロ野球携帯公式サイト事業を開始し、2002年、7球団と契約。2006年、事業を売却してスポーツ経営学研究者に。2009年から2021年3月まで尚美学園大学准教授。現在は、独立行政法人理化学研究所の客員研究員を務めるほか、東京都市大学非常勤講師、一般社団法人日本スポーツマンシップ協会理事、音楽フェス主催事業者らが設立した「野外ミュージックフェスコンソーシアム」協力者としても名を連ねている。

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