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ベストセラー作家が、コロナ禍では「与えること」が大切と断言する理由

著書130冊超、累計部数800万部の日本を代表する作家・本田健さんに、コロナ禍の生き方について聞きます。

コロナ禍をどう生きていく?
コロナ禍をどう生きていく?

 私たちの生活は大きく変わりました。これまでの常識や社会環境、経済環境はリセットされ、過去のものとなりつつあります。これからをどのように生きていけばいいのでしょうか。

 今回は、作家の本田健さんにコロナ禍の生き方について伺います。本田さんには130冊以上の著書実績があり、累計部数は800万部を突破するなど日本を代表する作家としても知られています。近著に「仕事消滅時代の新しい生き方」(プレジデント社)があります。

人間的に信頼されることが大切

 これは、本田さんのエピソードになります。数年前、政財界の重鎮や文化人、芸能人ら500人が参加するチャリティーイベントのくじ引きで、特賞を引き当てたことがあったそうです。ここに、生き方のちょっとしたヒントを垣間見ることができます。

「景品は、150万円はくだらないだろうピアジェの腕時計でした。その場にいた人は、私を相当な強運の持ち主だと思ったのでしょう。会場は『おー』とどよめき、それまで面識のなかった上場企業の経営者までもが次々と私のテーブルにやってきて、『運がいいですね! ぜひ、ご著書を拝読したい。どの本がいいでしょうか』と質問攻めに遭ったのです。すでに成功を収めた人でも『運』には並々ならぬ関心を持つようです」(本田さん)

「私自身、20代の頃から、運について真剣に考えてきました。周りの大人の中には、特別才能があるわけでもないのにトントン拍子で成功する人がいる一方で、能力はあるのに、何をやっても成果が出せない人がいました。運は確かに存在するとしかいいようがありません。運のいい人は一体何をしているのでしょう」

 本田さんは成功者に会うたびに「なぜ、運がよくなったのですか?」と直接尋ねたそうです。そして、一つの結論にたどり着きました。

「それは、『運』のいい人には必ず応援してくれる味方がいるということでした。事業に失敗して全てを失ったものの、仲間がお金を出し合ってくれたことで、見事に再起を果たした知人もいます。窮地に陥ったとき、『あいつのためなら』と無条件で手を差し伸べてくれる人を何人つくれるか。それが運を引き寄せるのです」

「出光興産創業者、出光佐三氏の逸話をご存じでしょうか。佐三氏はでっち奉公から身を起こし、苦難の末に、戦後の日本に貢献する石油ビジネスという大事業を成し遂げます。成功の陰にあったのは、彼を応援する人物との出会いでした。その人物とは、関西のある資産家で、開業資金のあてがなく悩む佐三氏に、自分の別荘を売ったお金6000円をポンと差し出したといいます。1911年、佐三氏はそのお金を元手に出光商会を創設しました」

 しかし、佐三氏はその後も失敗続きでした。会社をたたむ決意をした佐三氏に今度は、自宅を処分して再びお金を工面しました。本田さんは「そこまで人間的に信頼され、ほれ込まれたら、一生分の運をもらったようなものだ」と説明します。

応援してくれる人を生涯に3人つくる

 仕事の成果は、自分一人の努力で得られるものではありません。どんなに能力があっても職場で嫌われれば、その力を発揮する場すら与えてもらえません。特に、滅私奉公を求める日本の会社では、その傾向はより顕著なものとなります。

「上司・部下関係なく、無条件であなたを応援してくれる味方を社内に3人つくることを目標にしてみてはいかがでしょう。3人の、あなたに対するいい評価が決め手となって、昇進や望む部署への異動が実現することもあるでしょう。転職を余儀なくされるなど助けが必要なときには、それぞれのネットワークを駆使して、新天地を紹介してくれる可能性もあります」

 では、どうしたら応援される人になれるのでしょうか。本田さんは、人に「与えた」分だけ受け取れると言います。「与える」とはどのようなことでしょうか。

「そのカギは『与える』ことにあると考えています。自分のところにいい情報が回ってきたときは、独占せずに周りの人と共有する。頼まれれば、自分の人脈の中から人を紹介してあげる。また、相手の話や悩みをじっくり聞いてあげたり、手が空いたときは仕事を手伝ってあげたりするなど、要するに、あなたができる範囲のことを誰かにしてあげるのが、与える行いです」

「私の周りには、知り合った仲間が本を出したら、必ず買って自分のSNSで紹介するようにしていますと言う人もいます。このように、友人の成功を心の底から喜び、サポートしてあげるのもまた、与えることなのです。アメリカの元ファーストレディーで国連代表も務めたエレノア・ルーズベルトさんは『どんな関係においても大切なのは、何を受け取ったかではなく、何を与えたかなのです』という言葉を残しています」

 冒頭、チャリティーイベントのくじ引きで、特賞を引き当てたことエピソードを紹介しました。本田さんによると、チャリティーオークションの落札金を寄付したタイミングで発生した出来事だったとのことです。与えた分が返ってきた分かりやすい体験でした。

 人は相手に何かしてもらえば恩義を感じ、その分、自分も相手に返していこうとするものです。決して見返りを求めるわけではありませんが、自分が先に与えれば、結果的に相手からも大切にされ、応援してもらえるのです。あなたは「陰徳」を積んでいますか。

(コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所客員研究員 尾藤克之)

尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所客員研究員 尾藤克之

東京都出身。代議士秘書、大手コンサルティングファームにて、経営・事業開発支援、組織人事問題に関する業務に従事、IT系上場企業などの役員を経て現職。現在は障害者支援団体のアスカ王国(橋本久美子会長/橋本龍太郎首相夫人)をライフワークとしている。NHKや民放各社のテレビ出演や、経済誌などからの取材・掲載多数。著書も多く、近著に「頭がいい人の読書術」(すばる舎)がある。埼玉大学大学院経済学研究博士課程前期(経済学修士、経営学修士)。

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