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いじめ、学力低下、長時間労働…学校の問題は教員増員なしに解決しない

学力低下、いじめ…学校教育の現場はさまざまな問題を抱えています。問題解決のためには、どのようなことが必要なのでしょうか。

教育現場では、さまざまな問題が噴出する
教育現場では、さまざまな問題が噴出する

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、多くの自治体では、小中学校などが3月2日以降、一斉休校となりました。これまで前例がない措置だけに、不安に感じる保護者や教員も多いと思います。ですが、休校となったことで、子どもたちが普段、当たり前のように受けている学校教育の現状について見つめ直す良い機会になるのではないでしょうか。

 今回は、学校教育が抱える問題について考えてみたいと思います。

教員1人当たりの生徒数が多過ぎる

 現在、学校現場はいろいろな問題を抱えています。例えば、学力低下、いじめ、教員による児童・生徒へのハラスメント、教員の長時間労働などです。そのいずれにおいても、解決のためには教員の数を増やす必要があります。

 1学級の人数について調べてみると、日本の場合、小学1・2年生は上限35人で、小学3年から中学3年は上限40人ですが、先進各国は少人数学級を実現しています。例えば、米国と英国は上限30人、フランスは上限25人、ドイツは標準24人です(文部科学省の調査より)。

 フランスでは、2017年にマクロン大統領の英断により、学業成績が低く貧困率の高い地域の小学校の5~6歳児の学級は、25人から12人までに縮小されました。該当する学級はフランス全体で2500に及びました。

 もともと25人だった学級を12人までに縮小した理由は、経済協力開発機構(OECD)の学力調査で、フランスの順位が加盟国中27位だったからです。OECDはフランスの教育制度について、基礎学力の低い生徒に対応できておらず、学力格差が生じていると分析していました。

 米国のテネシー州で行われた研究でも、少人数学級の児童の方が、通常規模学級や指導助手付き通常規模学級の児童よりも学力が上回ることが明らかになっています。

 日本においても、北海道、広島県、島根県、沖縄県の小学5年生(1664人)と中学2年生(1720人)を対象に実施した調査で、学級規模が小さいほど平均点が高い傾向が示されました。ほかにも、少人数学級によって子どもたちの学力が伸びたという研究はたくさんあります。

いじめ発見のために

 いじめは「人間関係があるところでは必ず発生する」と思っていなければなりません。これは大人でも子どもでも言えることです。

 いじめをなくすためには、まず、いじめが発生していることを教員が発見する必要があります。ただ、教員1人が見る子どもの数が多くなればなるほど、いじめの発見は難しくなります。

 例えば、小学6年生のクラスで40人の子どもがいた場合、陰でいじめがあっても発見するのは非常に難しいです。超能力者ならいざ知らず、プロの教員といえども見つけるのは難しいです。

 そもそも、40人もの子どもの行動を1人の先生が把握し続けるのは不可能です。しかも、これくらいの年齢になるといじめも巧妙になり、教員にだけは分からないように行うようになります。

 しかし、教員1人が見る子どもの数が少なくなれば、教員の目もより行き届くようになり、発見率も上がります。

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親野智可等(おやの・ちから)

教育評論家

長年の教師経験をもとにブログ「親力講座」、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」、ツイッターなどで発信中。「『自分でグングン伸びる子』が育つ親の習慣」(PHP文庫)など、ベストセラー多数。全国各地の小・中・高校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会でも大人気。公式サイト「親力」で新書3冊分のコラムが閲覧可能。公式サイト「親力」(http://www.oyaryoku.jp/)、ツイッター(https://twitter.com/oyanochikara)、ブログ「親力講座」(http://oyaryoku.blog.jp/)。

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