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都内某所 子ども向け「料理教室」に中学受験生が集まる理由

調理の段取りが、受験にも役立つ

 調理に取り掛かってからも、先生の抜群のコメントは続きます。

 タマネギのみじん切りで涙を流す子がいると、「タマネギに含まれるアリシンという成分が、目のこの辺りにある涙腺を刺激して涙が流れるんだよ」などと、料理教室とは思えない情報をトークしていきます。そして、何よりも目を奪われたのは、どのタイミングでどの食材を入れるかなど、子どもたちに段取りを考えさせながら進めていく様子です。

 実はこれ、受験のときにもとても役立つ要素。塾によっては大量のプリントが課せられることもあるのですが、段取りを考えて行うことで効率よく進めることができるのです。

 参加した保護者に話を聞くと、「『これをしたら次にあれをする』ということが前よりも自然とできるようになってきた気がする」とのこと。学校探しから試験問題を解く順番に至るまで、段取りよく進めることはすべてのことに生かされます。それが、料理を通して学べるというのです。

 共働きが増えた現代、親としては子どもが料理の手伝いをしたがっても、手取り足取り教える時間が作れないというのが正直なところ。そんな中、料理だけでなく受験に役立つ知識や力までもが養われるというのですから、人気が出るのもうなずけます。

 しかし、講座を主催する中原さんは当初、こうした反響があるとは思っていなかったそうで、中学受験と料理の関係性について次のように語ります。

「お料理を通して生きる力を養ってほしいという思いでやっています。産地を紹介するのは受験勉強のためではなく、いただく食材の向こう側には、いつも生産者さんたちがいることを知ってほしいから。それがたまたま、受験にも役立つ知識につながっていったということだと思います」

「学ぶ」とは本来こういうことなのかもしれません。大人の私たちの方が、学ぶべき姿勢を教えられている気がします。

(フリーランス記者・ライター 宮本さおり)

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宮本さおり

フリーランス記者・ライター

地方紙記者を経て、2009年よりフリーランスの記者・ライターに。教育、子育て、女性の働き方などを軸に取材。東洋経済オンラインで「中学受験のリアル」を連載中。また、首都圏の中学受験情報誌の記者としても活躍。2019年、親子のための中等教育研究所の立ち上げに参加し所員に。小学校高学年からの学びについての講演や座談会を行っている。
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