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30歳ひきこもり長男は老後月収6万5000円、父が模索する国民年金以外の道

「すべて完璧に」は理想に過ぎない

 掛け金のお話をした後、筆者は次のようなことも父親に説明しました。

・国民年金基金は、前納することで掛け金の0.1カ月分が安くなること

・父親の口座から掛け金を引き落とすようにしておけば、父親の節税につながること(掛け金全額が社会保険料控除になるため)

 すべての説明が終わった後、父親は胸の内を語ってくれました。

「私は『完璧に何とかしなければいけない』という考えにとらわれすぎていたのかもしれません。今回の相談で、ちょっとだけ気持ちが軽くなりました。国民年金基金はぜひ手続きしようと思います。本日はどうもありがとうございました」

 父親の表情は幾分和らいだように見えました。親御さんの中には「ひきこもりの子どものために、何が何でも親の私が何とかしなければならない」という強い気持ちを持っている人もいます。しかし、その気持ちとは裏腹に、すべてを何とかしてあげたいという理想とすべてを何とかすることができないという現実のギャップで悩んでしまうケースが多くあります。

 100点満点を目指し、「すべてを何とかする」ということは現実的には難しいことでしょう。どこかで折り合いをつけなければなりません。そのため「無理のない範囲で準備をしていけばよい」という考え方も、時には必要なのではないかと考えています。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

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浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

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