わが子の「偏食」を直そうと必死だった過去 親のしつけは食事の楽しみを殺す
子どもとの食事の時間を楽しむ

実は、私も息子が幼い頃、偏食を直そうと必死でした。卵と牛乳に対する食物アレルギーがあった自閉症児の息子は、食べられるものが少なかっただけでなく、感覚過敏と自閉症のこだわりやパターン化の特性もあり、「僕は納豆、カボチャ、サツマイモ、シューマイしか食べません」という食生活が続いていました。
当時の私は、卵と牛乳を除外したさまざまな献立を作り、「これでもか、これでもか」と食べさせようと必死でした。息子は、食べたくないものが並ぶ食事の時間が次第に苦痛になっていきました。
本来楽しいはずの食事の時間なのに、「好き嫌いしないように、残さず食べろ」と小言を言われる▽マナー優先で、スプーンや箸を上手に使えないと叱られる▽手づかみをしたら手をたたかれる▽「こぼさないように食べなさい」と叱られる…といった状況になり、「偏食を直す訓練の時間・しつけの時間」になっていました。
もし、過去に時間を戻せるのなら昔に戻り、「苦手なものは無理して食べなくてもいいんだよ」と息子に言ってあげたいです。そして、自分の肩をポンとたたき、「そんなに真面目に、一生懸命にならなくたっていいですよ。偏食指導はほどほどにして、もっと子どもとの食事時間を楽しんで」と声を掛けてやりたいです。
(子育て本著者・講演家 立石美津子)
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