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わが子の「偏食」を直そうと必死だった過去 親のしつけは食事の楽しみを殺す

子どもとの食事の時間を楽しむ

偏食はしつけの対象?(C)あべゆみこ
偏食はしつけの対象?(C)あべゆみこ

 実は、私も息子が幼い頃、偏食を直そうと必死でした。卵と牛乳に対する食物アレルギーがあった自閉症児の息子は、食べられるものが少なかっただけでなく、感覚過敏と自閉症のこだわりやパターン化の特性もあり、「僕は納豆、カボチャ、サツマイモ、シューマイしか食べません」という食生活が続いていました。

 当時の私は、卵と牛乳を除外したさまざまな献立を作り、「これでもか、これでもか」と食べさせようと必死でした。息子は、食べたくないものが並ぶ食事の時間が次第に苦痛になっていきました。

 本来楽しいはずの食事の時間なのに、「好き嫌いしないように、残さず食べろ」と小言を言われる▽マナー優先で、スプーンや箸を上手に使えないと叱られる▽手づかみをしたら手をたたかれる▽「こぼさないように食べなさい」と叱られる…といった状況になり、「偏食を直す訓練の時間・しつけの時間」になっていました。

 もし、過去に時間を戻せるのなら昔に戻り、「苦手なものは無理して食べなくてもいいんだよ」と息子に言ってあげたいです。そして、自分の肩をポンとたたき、「そんなに真面目に、一生懸命にならなくたっていいですよ。偏食指導はほどほどにして、もっと子どもとの食事時間を楽しんで」と声を掛けてやりたいです。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

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