小室哲哉氏は“8万円”提示? 別居中の生活費「婚姻費用」はどう決まるのか
小室哲哉さんとKEIKOさんが離婚調停中だと報じられ、小室さんが提示した生活費が「毎月8万円」だと話題になっています。別居中の生活費である「婚姻費用」について筆者が解説します。
先日、文春砲を浴びせられたのは音楽プロデューサー・小室哲哉氏。妻で歌手のKEIKOさんと離婚調停中だと報じられたのです。小室氏は脳梗塞の後遺症に苦しむKEIKOさんと一緒に暮らし、献身的に支え、人生を共に歩んでいくだろうと思われていました。しかし、実際は別々に暮らし、別の女性と不倫報道もあり、報道が事実とすれば、あきれてものも言えないのはKEIKOさんだけでなく私たちも同じです。
KEIKOさんが生活費の援助を求めたところ、小室氏から離婚を切り出されたようです。これでは、「生活費を渡したくないから離婚したい」と言っているようなもので、KEIKOさんがますます傷ついたであろうことは想像に難くありません。
結局、小室氏は「毎月8万円」という金額を提示したようですが、小室氏には年間1億円もの印税収入があるとされており、家賃月100万円の高給マンションに住み、運転手付きの高級車を乗り回しているようです。毎月8万円を送ったところで小室氏とKEIKOさんの生活水準はあまりにもかけ離れています。
離婚前提でも請求できる
別居しているとはいえ、まだ夫婦なのだから妻は夫と同程度の生活を保証されるべきでしょう。今回のケースに限らず、離婚を望む夫が妻を“兵糧攻め”するパターンは決して珍しくありません。まるで、離婚に応じない妻の方が悪いという感じで自分を正当化するのですが、スズメの涙ほどの生活費で我慢するか、諦めて離婚するか、どちらかの道しかないのでしょうか。
ところで、法律上、別居中の生活費のことを「婚姻費用」といいます(民法760条)。もし、妻が離婚に同意しているとしても、ほとんどの場合、無条件ではありません。納得できる条件(養育費、慰謝料、財産分与など)なら離婚する、納得できない条件なら離婚しないという両にらみです。
遅かれ早かれ離婚する予定の夫婦なのだから、お互いに支え合う必要はなく、それは、お金の面でも例外ではないので婚姻費用を払う必要はないと思われがちで、家庭裁判所で離婚調停を行っている最中なら尚更そうですが、離婚前提でも離婚が成立するまでの間、婚姻費用を請求することは可能です(大阪高裁・平成20年10月8日決定)。
役所が発行する所得証明書(課税証明書)には、昨年度の所得の金額が書かれています。夫婦なら、妻が役所の窓口で夫の所得証明書の発行を申請しても対応してくれることが多いです。印税は雑所得なので所得証明書に反映されており、言い逃れの余地はありません。
そして、婚姻費用の金額ですが、年収が2000万円以下なら、家庭裁判所が公表している婚姻費用算定表に互いの年収を当てはめることで計算できます。例えば、夫の年収が1000万円、妻が100万円なら、婚姻費用は月13万円、夫が600万円、妻が無収入なら、月9万円という具合です(いずれも給与所得者で数字は総支給額)。
しかし、算定表の上限は、給与所得者の場合は2000万円、自営業者の場合は1400万円なので、これを超える場合、算定表を使うことは難しいです。どうすればよいのでしょうか。
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