砲弾や手りゅう弾の発見相次ぐ…「不発弾」に爆発の可能性は? 保管は罪になる?
親の遺品を整理していたら「不発弾」が出てきた…そんな事例が相次いでいます。不発弾の危険性や法的問題について聞きました。

親の遺品を整理していたら「不発弾」が出てきた…そんな事例が相次いでいます。たとえ戦時中のものでも爆発の危険性はありそうですが、古びた物だからと油断してしまうのか、4月に北海道で砲弾を見つけた男性は、自分の車で警察署に運搬。5月に仙台市で父親の遺品から手りゅう弾を見つけた男性は、包装紙にくるんで駐在所に届け出ていました。5年前ですが、北海道の男性が砲弾をドアストッパーとして使っていたという話もあります。
不発弾の危険性や処理の流れ、法的な問題について、関係省庁に聞きました。
信管があれば爆発の可能性も
国内で発見された不発弾は、最終的に自衛隊によって処理されます。陸上自衛隊広報室の担当者に聞きました。
Q.不発弾は、少しでも衝撃を与えてしまうと爆発するものなのでしょうか。
担当者「信管があるかどうかによって違います。信管がある場合は、爆発の可能性があります」
Q.日本で見つかる不発弾は、戦時中のものが多いのでしょうか。
担当者「戦時中の不発弾は、今年7月に江東区で安全化処理が行われた、米軍が投下した500LB焼夷(しょうい)爆弾のような大きなものから、砲弾・小火器弾など、大小さまざまな不発弾が発見されます。一方で、戊辰(ぼしん)戦争(1868~69年)で使用された『4斤砲弾』のような古いものが発見されることもまれにあります」
Q.戦時中のものであれば、少なくとも製造から70年以上たっているわけですが、それでも爆発の恐れはあるのでしょうか。戊辰戦争時のものでも可能性はありますか。
担当者「可能性はあります。通常、不発弾は地中から発見されますが、不発弾に内蔵する発火機構・火薬類は密閉されていることから、非常にきれいな状態で確認されることもあります。つまり、爆発の恐れはあると判断しています」
Q.不発弾処理までの流れは。
担当者「不発弾が見つかった場合、警察から自衛隊の不発弾処理隊に通報があります。緊急性が高い場合は、不発弾処理隊が発見現場に出動し、識別や処理を行います。緊急性が低い場合は、警察が不発弾を一時的に保管し、後日、不発弾処理隊が回収して処分します。
処分については、まず不発弾処理隊が不発弾を識別、調査しますが、この識別を正確に行うことが最も重要な作業といわれます。識別の結果、運搬が可能な場合は、回収して後日処分します。運搬が不可能な場合は、現地で爆破処分を行うか信管除去などを行うかを自治体と協議し、決定します。
最終的には、自衛隊と自治体が、現地処理の日時や双方の役割分担などの協定を締結し、現地で処分を行います。なお、信管を除去された不発弾は、不発弾処理隊が運搬、保管し処分を行います。なお、信管を除去した不発弾には爆薬が残っています。基本的に、部外で発見された不発弾については、除去した不発弾本体は企業に処分を依頼し、除去した信管は爆破処分を行います」
Q.不発弾の年間の発見件数は。また、処理の最中などに爆発事故が起こったことはありますか。
担当者「2018年度の不発弾の処理件数は全国で1480件、処理重量は約53トンでした。そのうち、沖縄県内での処理件数が675件、処理重量約20トンと、半数近くになります。なお、これまで自衛隊での不発弾処理中に事故が発生したことはありません」
Q.もし、自宅の敷地や外出先などで不発弾を見つけた場合、どう対応すればいいのでしょうか。
担当者「速やかに110番してください。不発弾に触れたり、動かしたりするのは絶対にやめてください」
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