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苦手な子も…給食が「米飯」のときの「牛乳」、出される理由は? 今後も続いていく?

学校給食では、米飯であっても当たり前のように「牛乳」が出てきます。取り合わせよりも栄養補給を優先してのことですが、牛乳を出さない地域も出始めています。

米飯給食でも牛乳なのはなぜ?(学校給食歴史館の展示サンプル。2013年3月、時事)
米飯給食でも牛乳なのはなぜ?(学校給食歴史館の展示サンプル。2013年3月、時事)

 学校給食で出てくる飲み物といえば「牛乳」です。米飯給食のときにも当たり前のように出てきますが、ご飯と牛乳の取り合わせを苦手にしている児童生徒にとっては、気の重い問題ではないでしょうか。なぜ、米飯給食のときでも牛乳が出てくるのでしょうか。お茶で代替できないのでしょうか。料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きました。

学校給食法施行規則に「ミルク」

Q.なぜ、学校給食では必ず牛乳が出てくるのですか。

関口さん「文部科学省が定めた学校給食法施行規則のなかで、給食は『パンまたは米飯(これに準ずる小麦粉食品、米加工食品その他の食品を含む)、ミルクおよびおかず』があることと定義されています。これが学校給食に牛乳が出てくる一つの理由だと思います。また、給食に牛乳をつけると、栄養バランスが良くなるという考え方が国(文部科学省)にあることも理由だと思います」

Q.米飯給食に牛乳は合わないと思うのですが、それでも牛乳が出てくるのはなぜですか。

関口さん「カルシウムの摂取効率が良いからです。育ち盛りの子どもは、カルシウムを1日600ミリグラム以上摂取する必要があるとされます。文科省が定めた給食の栄養基準では、その50%を満たさねばならないため、1本で約200ミリグラムのカルシウムが含まれる牛乳は都合が良い食品なのです。食事を提供する側からすれば、食事の取り合わせよりも、栄養計算の帳尻合わせの方を優先する可能性は高いです。

また、文科省の調査で、学校給食のない日の児童生徒のカルシウム不足が顕著であることが分かっています。家庭の食事において、カルシウムの摂取が不足している地域があることも分かっており、その対策のためにカルシウム摂取に効果がある牛乳が推奨されていることから『給食に牛乳』は当然の流れのようです」

Q.そもそも、ご飯と牛乳は合うのでしょうか。

関口さん「嗜好(しこう)の問題でもありますので一概にはいえません。しかし、ご飯に牛乳を使った料理を合わせることはよくあります。ドリアやホワイトソース系の料理、みそ汁にも牛乳を入れて仕上げたレシピがあります。ご飯メニューでも牛乳を使ったスープが付く場合もあります。ご飯と牛乳は絶対に合わないということより、牛乳を飲むかどうかの選択肢があれば一番よいのではと感じます」

Q.自分の子どもがご飯と牛乳の組み合わせに苦手意識を持っている場合、保護者は子どもにどう対応するよう伝えたらよいでしょうか。

関口さん「嫌いなものを我慢すると、それが苦痛になって給食自体が嫌になってしまう恐れがあります。実は私もパン給食が苦手でした。本来楽しい時間であるはずの給食が、つらい時間になってしまっては、栄養どころの問題ではありません。

しかし、食べ物に感謝の気持ちを持つことも大切です。保護者は、食事の作り手の思いや、さらにさかのぼって生産者のこと、食べ物がもたらす栄養の話など、子どもが興味を持つことから話して理解を深めさせ、苦手意識を払拭するような対応を試みてほしいと思います。

教育機関に対しては、無理強いせず、個々のペースで努力する姿勢を尊重してほしいと思います。私のアイデアとしては、一緒に食べ合わせるのではなく、合間に『牛乳タイム』を挟みながら、飲み分けるのがよいかと思います。実際、私もそうしていました」

Q.一部の自治体では、米飯給食のときにお茶を提供するなど、牛乳を出さないケースもあるそうです。牛乳の栄養分であるカルシウムをおかずで代替するのは可能なのでしょうか。

関口さん「新潟県三条市では、給食時の牛乳が廃止になり、『ドリンクタイム』という時間に牛乳を提供するようにしたそうです。給食とは分けて牛乳を飲ませるのです。カルシウムをおかずで取る場合、推奨量を満たすには使用量やコストの部分でハードルが高いと思います。小魚をふんだんに使った料理が子どもが食べたいメニューではない可能性もあります。骨ごと食べられる加工法の工夫や料理に脱脂粉乳を使うなど、提供側にとって課題がありそうです」

Q.牛乳など乳製品にアレルギーのある子どもも増えています。今後、学校給食で必ず牛乳を出す方針はどのようになると思われますか。

関口さん「牛乳には賛否両論あり、将来的には徐々に変化していくのではと思われます。アレルギーや乳糖不耐症など体に合わない場合もあり、単に嗜好の問題だけでは片付けられないケースも増えていくでしょう。ただ、給食が個々の嗜好や体質に柔軟に対応するのは現実的に難しく、飲まないという選択肢が生まれる場合、代わりに家庭の食事のあり方が重視されるようになると思います」

(オトナンサー編集部)

関口絢子(せきぐち・あやこ)

料理研究家・管理栄養士・インナービューティースペシャリスト

米国栄養カウンセラー、ヘルスケアプランナー。企業やウェブサイトなどの各種メディアで、レシピやコラム、企画提案などを行う。斬新なアイデアやニーズを捉えた企画が人気を博し、CM用のフードコーディネートやフードスタイリング、商業施設のフードプロデュースなど多岐にわたり活動。「毎日続けられること」をモットーに簡単・おいしい・おしゃれ、かつ美容と健康に直結したレシピを発信。自らの体調不良を食で克服した経験から執筆した著書「キレイになる!フェロモンレシピ」で「食から始めるアンチエイジング」をテーマに、女性が一生輝き続けるための食事法を紹介。セミナーや女性誌の特集で人気を集めている。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/ayako-sekiguchi/)。

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