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一日中布団で入浴もせず…30代ひきこもり長女を抱える家族が「障害年金」に見た光

たくさんの書類に頭が追いつかず…

 母親は年金事務所の窓口で障害年金の説明を受け、たくさんの書類をもらいました。職員が丁寧に説明してくれましたが、初めて聞くことばかりで理解が追い付きません。頭の中はパニック状態。結局、何から始めればよいのか全く分からないまま相談は終了しました。

「私一人では絶対に無理。一体どうすればいいの…」

 帰り道、母親は目の前が真っ暗になり、途方に暮れてしまったそうです。

 障害年金の請求には、さまざまな書類を手順よくそろえる必要があります。筆者は長女の通院歴から聞くことにしました。すると、10代の頃に初めて病院に行き、その後、数カ所の病院を転々としていることが分かりました。

 障害年金の申請は、初めて病院に行った日の証明書(受診状況等証明書)を病院で書いてもらう必要がありますが、だいぶ前のことなのでカルテが残っていない可能性もあります。そうなると、古い病院から順に問い合わせていくことになります。また、長女は生まれつき発達障害があります。「病歴就労状況等申立書」という書類には、生まれたときから今まで、その障害によりどのくらい日常生活に制限を受けてきたのか、簡潔に書く必要があります。

「他にも必要な書類はあるのですが、まずはこの2つから片付けてくださいね」

 筆者がそう言うと、母親は何かを考えるように沈黙していました。しばらくして、机の上に散らばっている書類をまとめ、長い息を吐きました。

「自分で何とかしようと思っていたのですが、やはり難しいと分かりました。長女の請求をお願いしても大丈夫でしょうか」

「はい。構いません。では、障害年金の代理請求について、もう少しお話させてください」

 話し合った結果、筆者が請求の代理をすることになりました。

「専門家にお願いをするのはためらいがありましたが、思い切ってお願いしてよかったです」

 長い間感じていたプレッシャーから解放されたようで、母親はホッとした表情を浮かべていました。

 障害年金に限らず、ご家族だけでの解決が難しいこともあるでしょう。そうしたときは、専門家や支援者の力を借りることもぜひ検討してほしいと思います。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

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浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

コメント

1件のコメント

  1. 日本は書類や手続きが多すぎるんだ。
    税金でさえ、世界で一番、複雑な税制システムだと国税局の職員が言ってたぐらいだ。
    このような日本に生まれてきた時点で、お終い!
    日本のような国では産むべきでは、ないのだ。
    私は独身で子ども なんか いない・・
    こんな国なんかには生まれたくないからね
    だって、公教育の人事権を日本共産党が私物化しているんだもん
    そりゃ学校が病んでいるし、引き籠りが増えるのは 仕方が無いもの。
    大阪府教育委員会・教職員人事課が日本共産党の巣窟(日本の中の北朝鮮!)
    ひどいもんです!
    私は、日本共産党員たちに、身体を潰され、退職に追い込まれました。