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「老後不安」でお金を使わない若者は人生で多くを失う、バランスを意識せよ

過度な節約は失うものも多い

 不安を「見える化」できたら、過度な節約はやめましょう。というのも、過度な節約をすると失うものも多いからです。

 筆者のお客さまの例ですが、若い頃から節約に励み、65歳で1億円の資産を築いた女性がいました。普通の会社員です。その節約ぶりは徹底していて、食事は絶対に自炊。住居は都心部から電車で1時間程度の家賃が安いエリアのアパートを借り、住居費も抑えていました。プライベートでは会社の同僚や友人との付き合いはほとんどせず、家と会社の往復だったそうです。大手企業の会社員だったので、毎月の給料はそれなりにあったにもかかわらず節約を徹底していました。投資をたしなんでいたこともあり、1億円ためられたわけです。

 65歳になり、退職を迎えた彼女。普通なら、1億円も資産があるし、「第二の人生を謳歌(おうか)するぞ!」というところですが、いざお金を使おうと思っても「使い方が分からない」、さらに「一緒に遊びに行ける友人がいない」ということに気付きました。節約でお金はたまったかもしれませんが、人生の楽しみを味わえず、友人もできず、失うものが多かったのです。

お金の有効な使い方を学ぼう

 本来、お金は人生を充実させるためのツールです。ここを理解していないと、お金をためること自体が目的になってしまいます。まずは、なぜ、お金をためたいのかを考える必要があります。そして、意外に難しいのがお金の使い方です。前述の例のように、お金をためることだけに集中してしまうと、お金の使い方が分からなくなってしまうのです。もちろん、無駄にお金を使うことはよいことではありませんが、有効にお金を使うことができれば人生は何倍も楽しくなります。そのためには、若い頃から経験を積むしかありません。

 例えば、食事に行ったり、美術館に行ったり、物を買ったりした場合、「この時は幸せな気持ちになれた」「これは買わなきゃよかった」と両方あると思います。この経験を通して、どんなお金の使い方をすれば自分が幸せになれるのかが分かります。そうした経験を積むことで、お金の使いどころと節約のしどころが分かり、バランスの取れたお金の使い方ができるようになるのです。

 まずは、不安を「見える化」しましょう。「見える化」して、必要な金額をためるために貯蓄や投資をする一方で、有意義にお金を使いましょう。やたらとお金をためても、やたらとお金を使ってもどちらも幸せになれません。どちらかに偏っている人は、「バランス」を意識して生活してみてくださいね。

(ファイナンシャルプランナー、Money&You取締役 高山一恵)

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高山一恵(たかやま・かずえ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)、Money&You取締役

2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを創業、10年間取締役を務め退任。その後、Money&Youの取締役へ就任。お金の総合相談サイト「FP Cafe」や女性向けマネーメディア「Mocha」を運営。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を生かした解説や講演には定評がある。著書は「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「つみたてNISAでお金は勝手に増えていく!」(河出書房新社)、「パートナーに左右されない自分軸足マネープラン」(日本法令)など多数。Money&You(https://moneyandyou.jp/)、FP Cafe(https://fpcafe.jp/)、Mocha(https://fpcafe.jp/mocha)、マネラジ(https://fpcafe.jp/mocha/features/radio)、Money&You TV(https://fpcafe.jp/mocha/features/mytv)。

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