「進撃の巨人」で逮捕 漫画を複製「自炊」はどこからが違法になる?
ネット公開なども著作権侵害にあたる
それでは、自炊代行を行う人は全国に相当数いるのでしょうか。そうだとすれば、摘発数も含めて問題がなかなか表面化しないのはなぜなのでしょうか。
島田さんは「かつては相当数いたはずです」。しかし今年3月に、作家7人が業者を提訴した裁判の判決が確定する以前は、「自炊業者は依頼した個人の手足として複製を行っているだけで複製の主体は依頼人であり、代行は違法ではない」との解釈もできたそう。
また被害者である作家が、どの業者が自分の作品を実際に複製しているのか把握できていない場合も多く、違法な自炊代行をやっていても、全員が摘発されるわけではなかったといいます。ただし「最高裁判断の後に摘発された業者には厳しい処罰が下されるでしょう」。
最後に、自炊をしている人が違法行為に走らないためのアドバイスも聞きました。
「自分で買った本について、自分で楽しむために自炊をすることはできます。しかし元々自分で楽しむために自炊をしたものであっても、その後、本のデータを友だちに渡したり、ネットで公開したりすれば著作権侵害になります(著作権法49条1項1号)」
また、自炊はオーケーだといっても、コピーガードなどがかけられているものについて、これを破って複製することも著作権法違反にあたるそう。
島田さんは「『私的利用目的の複製』は限られた範囲でのみ許されるものです。安易に複製などをすれば、著作権法違反で処罰される可能性がありますが、作家が活動を続けるための収入を得られなくなり、結果的に、自分の好きな本が発売されなくなる事態もあり得ます。少しくらいいいだろうでは済まない問題です」と話しています。
(オトナンサー編集部)
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