「進撃の巨人」で逮捕 漫画を複製「自炊」はどこからが違法になる?
漫画を複製して不正に販売したとして、書籍電子化代行業の男性が著作権法違反容疑で逮捕されました。今回は漫画などのコンテンツを複製する行為、いわゆる「自炊」の法的な意味を考えます。
人気漫画をスキャンして複製し、不正に販売したとして京都市左京区の書籍電子化代行業の男性が著作権法違反容疑で逮捕されました。
報道によると、男性は今年4~7月、漫画「坂本ですが?」「アフォガード」の計16冊を電子データに複製したほか、4月には「るろうに剣心」「進撃の巨人」など計48冊を処理し、男女2人にDVD3枚を約5700円で販売したといいます。
オトナンサー編集部では今回、漫画などのコンテンツを複製する行為「自炊」の法的な意味について考えます。
私的領域における自由は保障されている
アディーレ法律事務所の島田さくら弁護士によると、著作権者以外の人が本をコピーしたり、スキャンしてデータ化したりして複製すると、原則的に著作権侵害にあたるそう。ただし著作権法30条1項は例外的に、自分か家族の範囲内程度であれば複製してもよいと定めています。
島田さんはその理由について「私的な領域において個人が活動する自由を保障しようということ、また個人的に複製する程度であれば著作権者への経済的打撃が少ない、ということがあります」と指摘します。
それでは、自炊が違法になる基準はどのようなものでしょうか。
(1)複製の目的が私的使用である(2)私的使用をする人自身が複製する――という2つの条件が満たされていれば、違法とはならないそう。つまり「本を買った人自身が自分のタブレットで読書をするために本をスキャンすることは許されます」(島田さん)。
一方で「友だちにデータを渡すためにスキャンするのは、目的が私的使用ではないため違法です。そして私的使用をする人自身がスキャンする必要があるので、自炊代行業者がスキャンすると違法になります」。
著作権を侵害された場合、著作権者は複製の差し止め(著作権法112条1項)や損害賠償(民法709条)を請求できます。侵害した人は著作権法119条1項に基づき、「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方」が科されます。
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