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NGT48事件後の混乱は「共感力」の欠如がもたらした リーダーに求められるものとは?

「繰り返し」と「言い換え」が共感力を高める

 筆者は、リーダーシップ実践力を向上させるプログラムを企業・団体で20年来実施していますが、ここ数年、「リーダーがメンバーを巻き込むことができない」という相談が増えています。その原因を突き詰めていくと、「リーダーがメンバーに共感できていない」ということに行き着くことが分かってきました。

 メンバーが困っていてリーダーに相談をしても、リーダーはメンバーの話を十分に聞かずに、「それは○○すればよい」と答えるだけだったり、メンバーの目線に立たず、リーダーの視点から規則やプロセスを示すだけだったりするケースが多いのです。「リーダーは決然と即答しなければならない」「リーダーはリーダーの視点で大局的な説明をしなければならない」ということばかりが強調されてしまい、メンバーに共感するということがおろそかになってしまっているように思えてなりません。

 実は、「共感力が大事だ」「リーダーはメンバーに共感しなければならない」というのはよく言われることです。しかし、言われたリーダーは「一体どうすれば共感できるのか」ということが分からないうちに、メンバーとの亀裂が生じてしまっていることがとても多いのです。

 共感力を身に付けるにはどうすればよいのでしょうか。さまざまな演習を繰り返してきて、現在、最も簡単で、最も効果がある方法が、「繰り返し」「言い換え」による共感スキルです。「繰り返し」というのは文字通り、メンバーが言ったことをリーダーが繰り返して言う方法です。例えば、「この方針は○○という理由で反対です」とメンバーが言ったら、「この方針は○○という理由で反対なのですね」と繰り返すことです。

「言い換え」は、メンバーが言ったことをリーダーが自分の言葉で言い換える方法です。言い換え話法を、筆者は「表現変更」「詳述」「要約」「単純化」「ポジティブ変更」の5つに分けて演習しています。表現を変えたり、要約したりすることで、「相手のことを理解している」と伝えるわけです。

 リーダーがメンバーに対して「あなたのことは分かっています」ということを何回も言えば言うほど、メンバーから見れば本当に分かっているのだろうかと疑心暗鬼にさせてしまうものです。「あなたのことは分かっています」ということを一言も発せずとも、メンバーが言ったことに対して、リーダーが繰り返しと言い換えをすることで、「この人は私のことを分かってくれているのだな」という感情をメンバーに持ってもらいやすくなるのです。

 そして、共感力とは何かということが分かっていなくても、繰り返しや言い換えを実施していくと、「相手のことを理解しよう」「相手の状況や気持ちを共感しよう」という意識が高まってくることに気付くと思います。「繰り返し」「言い換え」というとても簡単なスキルが共感力を高めるのです。

(モチベーションファクター代表取締役 山口博)

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山口博(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター代表取締役

長野県上田市出身。慶応義塾大学法学部卒業。国内外金融・IT・製造企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て現職。モチベーションファクター(R)(意欲を高める要素)をてこにした分解スキル反復演習(R)型能力開発プログラムを開発、展開しているグローバルトレーニングトレーナー。横浜国立大学大学院非常勤講師。主な著書に「ビジネススキル急上昇日めくりドリル」(http://amzn.asia/d/cwWsVkE)、「チームを動かすファシリテーションのドリル」(単行本=http://amzn.asia/d/6ZPWVaC、新書=http://amzn.asia/d/hRTRrvn)、「99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100」(http://amzn.asia/d/8z6NmSl)。

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