NGT48事件後の混乱は「共感力」の欠如がもたらした リーダーに求められるものとは?
アイドルグループのメンバーが男2人に暴行を受けた事件を巡り、運営会社と被害者の間で混乱が起きています。その原因を、組織のリーダーの在り方から考えます。
新潟市を拠点とする女性アイドルグループ・NGT48のメンバー、山口真帆さんが昨年12月、自宅玄関先で男2人に暴行を受けた事件は、被害者である山口さんが翌月の公演で「お騒がせして誠に申し訳ございません」と謝罪し、4月には卒業を発表するという、奇妙な結末となりました。暴行容疑で逮捕された男2人は不起訴となり釈放されましたが、NGTの運営会社であるAKSが後に男2人を提訴したことが報道されています。
今回は、この事件を巡る関係者の対応から、組織のリーダーの在り方を考えてみたいと思います。
共感の姿勢を示さない象徴的なケース
事件を巡っては、NGT48の他のメンバーが犯行に関与しているのではないかと疑われながらも、3月には第三者委員会が「関与はなかった」と報告。山口さんは、AKS幹部から「(他のメンバーの関与は、山口さんの)思い込み」「不起訴になったことで事件じゃない」「(山口さんは)今は会社を攻撃する加害者」と言われたことを明かすなど、運営側と山口さんの対立は収まっていません。
この対立は、運営側(AKS幹部)が被害者(山口さん)に「共感の姿勢」を示していないことが元凶であるように思えてなりません。運営側と被害者との関係は、組織における「リーダー」と「メンバー」の関係といえると思います。リーダーがメンバーに共感の姿勢を示さないとどういうことになるか、という象徴的なケースといえます。
仮に百歩譲って、思い込みの部分があったとしても、メンバーが思い込んでいるだけだと受け取られる表現をリーダーがしてしまうこと自体、「メンバーの気持ちを理解しようとしていません」「メンバーの言っていることを信用していません」ということを言っているようなもので、これでは対立が生じてしまうのは当然です。
不起訴ということは、法的には事件として成立していないということかもしれませんが、必要なのは、リーダーがメンバーに法的な解釈を伝えることではなく、メンバーの今の状況に共感することです。「今は会社を攻撃する加害者」とまで言ってしまうとは、被害者の気持ちを逆なでするに余りあります。
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