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世にはびこる多様な「仕事術」を実践しても、評価されることはない

筆者の新刊「波風を立てない仕事のルール」から、評価される「仕事術」について解説します。

ほとんどの「仕事術」は使えない?
ほとんどの「仕事術」は使えない?

 世の中は多彩な「仕事術」が花盛りです。交渉術、整理術、ノート術、メモ術まであります。では、それらの仕事術をマスターしたら社内で評価されるのでしょうか。答えは「否」。そんなスキルをマスターしても評価されません。今回は、筆者の新刊「波風を立てない仕事のルール」(きずな出版)の中から、評価される仕事術について解説します。

「ヨイショ」「ゴマすり」はスキル

「ヨイショ」「ゴマすり」というとネガティブな印象を持っている人も多いかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ、普通の人が嫌がったり恥ずかしがったりして、なかなかできないことにこそ価値があります。

 筆者はこれまで、「絶対にこの人にはかなわない」という人にも会いました。その人のやることなすこと、分かりやすすぎるくらい「ゴマすり」なのです。ゴマすりも極めれば嫌みになりません。むしろ尊敬に値します。

 筆者の知り合いに、ゴマすりの腕前が天下一品の人がいます。その人はA社に勤務する「すり夫」(仮名)さん。「すり夫」さんはどちらかといえば、カッコ悪い容姿です。背は低く中年太り、髪は薄く、ファッションセンスもありません。

「いや~社長、そのネクタイ、とても素晴らしいセンスでいらっしゃいますね」。ネクタイを褒めるのはゴマすりの代名詞のようなものですが、その「すり夫」さんは臆面もなく、堂々とゴマすりの王道をいきます。

「社長、今のお言葉、素晴らしいですね。大変恐れ入りますが、お言葉を書にしたためていただくことはできませんでしょうか」。そう言うと、懐からサッと毛筆ペンを取り出し、自分の手帳の一番最初のページを差し出します。

「ええ、こんなところに書いてしまっていいのかね。大事な手帳でしょ」と社長。「いいんです。社長のお言葉、本当に素晴らしいものでしたので、ぜひお願いします。むしろ、色紙を用意しておらず、申し訳ございません」と「すり夫」さん。

「すり夫」さんのテクニックは、聞いているこちらの背中がムズムズしてくるようなゴマすり術でした。とにかく、あれやこれやのテクニックを使ってゴマをすりまくるのです。ゴマすりも極めれば、立派なテクニックです。

「すり夫」は誰からも好かれます。社内外の信頼も厚く、現在はバックヤードの部長職にあります。必死になってあくせく働くのではなく、「すり夫」さんのような波風立てない仕事術は、大いに参考にすべきではないかと思います。

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尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

東京都出身。代議士秘書、大手コンサルティングファームにて、経営・事業開発支援、組織人事問題に関する業務に従事、IT系上場企業などの役員を経て現職。現在は障害者支援団体のアスカ王国(橋本久美子会長/橋本龍太郎首相夫人)をライフワークとしている。NHKや民放各社のテレビ出演や、経済誌などからの取材・掲載多数。著書も多く、近著に「3行で人を動かす文章術」(WAVE出版)がある。埼玉大学大学院経済学研究博士課程前期(経済学修士、経営学修士)。

筆者への連絡先
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