たかが1票、されど1票…「1票」が大きな意味を持った過去の選挙まとめ
きょう4月21日は、統一地方選後半戦の投票日です。選挙では「1票」の違いがとても大きな意味を持つことがあります。
きょう4月21日は、統一地方選後半戦の投票日です。近年、多くの選挙で投票率の低さが指摘されますが、棄権する人が挙げる理由の一つに「自分の1票で結果が変わるわけじゃない」というものがあります。ところが、選挙の現場では、1票差で当落が分かれたり、当落を分けるラインに2人以上が並んだりするケースもあります。「1票の重み」を感じる選挙の実例を調べました。
裁判の末に「1票差」で逆転
1票差で明暗が分かれたのは、2017年11月に行われた東京都の葛飾区議選(定数40)。決着は、最高裁までもつれこんだそうです。区選管の木下雅彦事務局長に聞きました。
Q.開票終了時点の結果を教えてください。
木下さん「投票は11月12日にあり、11月13日に開票作業が終わった時点では、40位の候補の得票が2176票、41位の候補の得票が2175票でした」
Q.1票差で次点とされた候補からの異議申し立てがあったそうですが、最終的な結果は。
木下さん「区選管への異議申し立てや、東京都選管への審査申し立て、約16万票すべての点検などを経て、裁判になりました。最終的には、40位の候補の得票のうち、2票が『無効』と判断され、最高裁もそれを認めました。つまり、当初は41位だった候補者が、40位だった候補者を1票差で上回ったのです」
Q.1票差での決着は初めてだったのでしょうか。
木下さん「葛飾区では初めてでした」
当落を分けるラインにまったく同じ得票数で2人以上が並ぶケースは意外と多く、今回の統一地方選前半戦(4月7日投票)でも、相模原市議選で同様のことがありました。市選管に聞きました。
Q.中央区で起きたことを教えてください。
担当者「中央区選挙区の定数は17ですが、3158票で17位に2候補が並びました。公職選挙法95条に、得票数が同じときはくじで定めるとあり、それに基づいて、くじ引きで決定しました」
Q.当日の流れを詳しく教えてください。
担当者「開票作業の終盤になって、17位が同数になりそうだということが分かり、すべての票を再点検しました。それでも1票も動かず、同数が確定しました。それが分かったのが、4月8日午前3時ごろで、くじを行うため、候補者2人に連絡を取り、午前4時すぎに2人がそろったため、くじを引いてもらいました。
くじ引きは、それぞれ『1』『2』と番号が書いてある2本の『くじ棒』を箱に入れて、候補者が引く方法です。まず、立候補届け出順に『予備くじ』を引きます。これは本番のくじを引く順番を決めるものです。そして、本番のくじを引き、『1』を引いた候補者が当選と決まりました」
Q.くじは急きょ準備したのですか。
担当者「いえ、あらかじめ用意していました。4年前の市議選の南区選挙区で、1票差に3候補が入って当落が分かれるという事例があり、『万が一のため』ということで、くじの用具を開票所に持ってきていました」
Q.最終的に当選者が決定した時間は。
担当者「午前4時20分です。市のホームページの速報では『28時20分』としています」
なお、くじ引きで落選した候補者は4月18日、「無効票と判断された中に、自身の有効票があった可能性がある」として、票の再点検を求めて市選管に異議を申し立てています。
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