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候補者名書かれた「投票用紙」画像の投稿相次ぎ、SNS「ビビる」 投票日にやると“犯罪”に?【弁護士が解説】

候補者名や政党名が記入された投票用紙の撮影画像をSNS上に投稿した場合、公職選挙法に抵触する可能性があるのでしょうか。弁護士に聞きました。

候補者名や政党名が記入された投票用紙の撮影画像をSNS上に投稿したら犯罪に該当?
候補者名や政党名が記入された投票用紙の撮影画像をSNS上に投稿したら犯罪に該当?

 参議院選挙の投開票が7月20日に行われます。今回の選挙は連休中に行われるため、投票日当日に予定がある人の中には、すでに期日前投票に行った人も少なくないと思います。

 そんな中、候補者名や政党名が記載された投票用紙の画像がSNS上に投稿されるケースが相次ぎ、波紋が広がっています。こうした状況について、SNS上では「撮影していいの?」「マナー違反」「投票所の中でシャッター音がしたらビビる」という内容の声が上がっています。

 候補者名や政党名が記入された投票用紙の撮影画像をSNS上に投稿した場合、公職選挙法に抵触する可能性があるのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。

投票日当日に投票用紙の画像を投稿すると公職選挙法違反の恐れ

Q.そもそも、投票所内における撮影行為は公職選挙法上、問題はないのでしょうか。

佐藤さん「投票所内での写真撮影について、公職選挙法上、直接禁止する規定はありません。しかし、投票所内での写真撮影については、シャッター音や撮影する動作などによって、周囲の選挙人に不安感を与える恐れがあります。また、実際、他の選挙人が写り込む恐れもあり、投票の秘密(憲法15条)、ひいては投票の自由が侵害される可能性があります。

公職選挙法には『投票所の秩序を乱す者があるときは、投票管理者は、これを制止し、命に従わないときは投票所外に退出せしめることができる』という定めがあり(同法60条)、投票所内での写真撮影により、投票が平穏な状態のもとに行えないような場合には、公職選挙法に基づき、制止され、命に従わなければ退出させられることもあり得ます。

また、投票所を運営管理する各自治体の選挙管理委員会によっては、投票所の秩序維持のため、あらかじめルールを定め、投票所内での撮影を禁止しているところもあります」

Q.公職選挙法は「投票日当日に選挙運動をしてはいけない」と定めていると聞きますが、本当なのでしょうか。投票日当日に選挙運動を禁止する理由も含めて教えてください。

佐藤さん「公職選挙法により、選挙運動は、選挙の公示・告示日から選挙期日の前日までしか行うことができないとされています(同法129条)。これに違反すると、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処される可能性があり(同法239条1項1号)、これらの刑に処せられた者は、選挙権および被選挙権が停止されます(同法252条1項・2項)。

投票日当日の選挙運動が禁止されているのは、投票の直前に発せられた情報により、投票行動に影響が出ることを避け、選挙人の冷静で自由な意思による投票を確保するためでしょう」

Q.SNS上では、候補者名や政党名が記入された投票用紙の撮影画像が相次いで投稿されており、波紋が広がっています。期日前投票のときや投票日当日、投票所で撮影した候補者名入りの投票用紙の画像をSNSに投稿した場合、公職選挙法に抵触する可能性はあるのでしょうか。

佐藤さん「期日前投票に行ったときに投票所のルールに従って投票用紙を撮影し、投票日当日よりも前にその画像を投稿した場合、選挙運動ができる期間内の行為なので、公職選挙法には抵触しません。また、選挙運動期間内にSNSに投稿した内容は削除する必要はなく、投票日もそのまま掲載しておくことができます。

しかし、選挙運動が禁止されている投票日当日に、候補者名や政党名を記入した投票用紙の画像をSNSに投稿した場合、内容によっては、選挙運動とみなされ、公職選挙法違反になる可能性があります。選挙運動とは『特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得または得させるために直接または間接に必要かつ有利な行為』とされています。

従って、例えば画像とともに特定の候補者や政党への投票を呼び掛けるなどすれば、違反になる可能性が高いでしょう」

(オトナンサー編集部)

【画像】「えっ…そうだったの…!?」 これが、逮捕されるかもしれない有権者の「選挙犯罪」です!(9枚)

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佐藤みのり(さとう・みのり)

弁護士

神奈川県出身。中学時代、友人の非行がきっかけで、少年事件に携わりたいとの思いから弁護士を志す。2012年3月、慶応義塾大学大学院法務研究科修了後、同年9月に司法試験に合格。2015年5月、佐藤みのり法律事務所開設。少年非行、いじめ、児童虐待に関する活動に参加し、いじめに関する第三者委員やいじめ防止授業の講師、日本弁護士連合会(日弁連)主催の小中高校生向け社会科見学講師を務めるなど、現代の子どもと触れ合いながら、子どもの問題に積極的に取り組む。弁護士活動の傍ら、ニュース番組の取材協力、執筆活動など幅広く活動。女子中高生の性の問題、学校現場で起こるさまざまな問題などにコメントしている。

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