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「私は、母親失格なのでは」 他の子どもへの“嫉妬”に苦しみ…発達障害児の母が《自分の感情》を受け入れるまで

「前向きに考える」よりも大切なこと

「前向きに考えましょう」「プラス思考でいきましょう」と言われることがあります。確かに、前向きな言葉は時に人を救います。けれども、感情はスイッチのように切り替えられるものではありません。

 無理に「前向きにならなきゃ」と思えば思うほど、それができない自分を責めて苦しくなることもあります。そうではなく、「嫉妬する自分も自然な存在なんだ」と受け止めてあげることの方が、よほど大切だと私は感じています。

 私自身、息子の成長を見守る中で、今でも時々、他の子をうらやましく思うことがあります。例えば、“孫自慢”を聞くときです。でも、「それもまた私の自然な感情なんだ」と認められるようになってからは、自分を追い詰めることが減り、ずっと生きやすくなりました。

 嫉妬をなくすことはできません。しかし、嫉妬とどう付き合うかを知ることで、心は少しずつ軽くなるのだと思います。

 私は公認心理士ではありません。それなのになぜそう感じるのかというと、私自身が現在、神経症で悩み、通院しているからです。医師に勧められて、ある自助グループに通っています。そこでよく「飛び込み台の例」が出されます。

「飛び込み台が怖い人は、どの選択がよいでしょうか。
逃げる。
『怖くない、怖くない』と言い聞かせる(はからい)。
怖いまま飛び込む(不安を抱えながら行動する)。
答えは――『怖いまま飛び込む』です」

 つまり、不安をなくそうとすればするほど、意識はかえって「怖い」という感情に向かってしまうのです。これを「精神交互作用」または「反対観念」と呼びます。

 嫉妬の感情も、これと同じだと思います。なくそうともがくほど強く意識してしまう。だからこそ、「あるもの」として受け止めていくことが、心を楽にする第一歩なのだと思います。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

【画像】「えっ…?そうだったの……?」 これが「発達障害児」にみられることのある行動です(5つ)

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

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