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「離婚してよ。ごめんなさい」 子どものために離婚しない親と、離婚を懇願する子ども…《離婚の正解》はどちらにあるのか

DVモラハラ父親が、溺愛した娘に「三行半」を突きつけられた日

 モラハラ当事者の子どもである未知さん(22歳、仮名)からお話を聞きました。

 母の陽子さん(48歳、仮名)は7歳年の離れた夫と、一人娘・未知さんとの3人家族。元夫は普段から陽子さんにモラハラ気味で、上から目線。お酒が入ると、そこへ頬を平手打ちする暴力が加わりました。一方、子どものことは溺愛していて、未知さんの言うことなら目を細めて聞き、「未知は本当にかわいい」が口癖でした。

 母親が父親に殴られているのを見たのは4歳の頃だと、未知さんは言います。

 叫び声で目が覚めると、隣で寝ていた母親の髪の毛を父親がつかみ、げんこつで頭を殴っていました。未知さんは父親の腕にしがみつき、「やめて! やめて!」と泣き叫びました。

 父親は、母親に「おまえがバカだから未知が泣いているじゃないか。未知は本当にかわいい」と、殴るのをやめて未知さんを抱きしめました。

 次の日、未知さんが1人で遊んでいると、同じ団地に住む、いろいろよくしてくれるおばさんが「昨日の夜、声が聞こえたけど大丈夫だった?」と尋ねました。それに対して未知さんは、「ママが悪いことしたからパパが怒っただけ」と言いました。現在22歳の未知さんは、今でもそのときのことをしっかりと覚えているそうです。

 未知さんが小学校6年生になった頃も、相変わらず父親のひどい言葉は続いていました。いつも黙ってそれを受け入れる母親のことを、未知さんは「情けない人」だと思うようになっていました。「なんで怒らないの? 言い返せばいいのに」と何度か伝えたそうです。

 そして、未知さんと父親の関係には少し変化が生まれました。思春期になり、父親と距離を取るようになった未知さんに対し、父親がいら立ちを見せるようになったのです。

 ある日、食事中に父親から学校のことについて聞かれたときに、いちいち答えたくない未知さんは「関係ないでしょ」と言いました。

 すると父親は、今までの積もり積もった感情を爆発させ、お皿を手に取り、未知さんの頭をゴツンと殴りました。突然のことでビックリし、ぼうぜんとする未知さん。

 母親が「やめて」と叫ぶと、「おまえの教育が悪いから未知がこんなふうになったんだろうが」と、今度は母親を殴りました。そして、「俺は未知が誰かにレイプされたらそいつを殺す。だけど、おまえがレイプされたら裁判で金をむしり取るんだ」と叫びました。

 頭が混乱し続けた未知さんですが、突然の父親の汚い発言も含め、激しい嫌悪感を覚えたといいます。気持ち悪くなって吐いたことも覚えていました。

 そして、今まで母親が耐えてきたこと、父親の自分への愛情は、母への当てつけと感じました。

 未知さんは「離婚してよ。2人で暮らそう。ママが耐えているのは、自分がパパのことを好きだと思っていたからだと思う。ごめんなさい」と泣きながら伝えました。母親は「ごめんね、ごめんね」と繰り返しました。2人はその日すぐに、母親の実家に駆け込みました。実家の助けと母の再就職で、平穏な日々になったそうです。

 その後……未知さんは一度も父親に会っていません。

「母のことを虐げて私のことを溺愛する父を見て、『私の方が母より上だ』とずっと勘違いしていました。本当に母には申し訳ないことをしてきた。12歳の頃に、そうじゃないって気が付けてよかった。

それを母に伝えることができたのは、父に理不尽な扱いをされても、母が変わらず私のことを愛し続けてくれたくれたからだと気付きました。父は再婚したと聞いています。同じことを繰り返していなければいいなと思います」

 小学校高学年のとき、父親の非道さと真実に気が付いた未知さん。それを声に出せてよかったと、私も心の中で拍手しました。

「子どもだから分かっていない」「幼稚な意見しか言えない」ということはありません。自分の子どもを信頼し、勇気をもった一歩を踏み出すことは、決して子どもに悪影響を及ぼすことではないのです。

 自分を守ることは、子どもを守ることにつながる――。そう思えるお話でした。

(「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美)

【画像】「うわ、生々しすぎる……」→これが「モラハラをする妻」の“心理的背景”です(専門家監修)

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三松真由美(みまつ・まゆみ)

恋人・夫婦仲相談所 所長(すずね所長)・執筆家

夫婦仲・恋仲に悩む女性会員1万3000名を集め、「結婚・再婚」を真剣に考えるコミュニティーを展開。セックスレス・ED・女性の性機能に詳しく、性を通して男女関係をよくするメソッドを考案。20代若者サークルも運営し、未婚世代への結婚アドバイスも好評を呼ぶ。恋愛・夫婦仲コメンテーターとしても活躍中。業界最大手「ごっこ倶楽部」のセックスレスをテーマにしたショートドラマを監修し、5カ月で1億回再生に到達。著書は「夫婦の『幸せ循環』を呼ぶ秘訣」(講談社)「モンスターワイフ」(同)「40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣」(扶桑社)「堂々再婚」(wave出版)など多数。コミック「『君とはもうできない』と言われまして」(KADOKAWA)の監修も手掛ける。恋人・夫婦仲相談所(http://fufunaka.com/)、公式note(https://note.com/suzune_16)、オトナのお悩み保健室(https://otona-hokenshitsu.jp/)。LINE登録で「夫婦仲チェックシート」を無料プレゼント(https://fufunaka.com/archives/lp/line)。

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