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全員「元ニート」、しかも全員「取締役」のユニーク企業が人材募集 これまで紆余曲折も…

日本全国からニートなどの若者が集まり、全員が取締役に就任して経営に関わるユニークな会社が、新たな取締役を募集しています。

ニートの取締役が参加した2013年の設立会見(NEET株式会社提供)
ニートの取締役が参加した2013年の設立会見(NEET株式会社提供)

 日本全国から「ニート状態」だった若者が集まり、全員が取締役に就任して経営に関わるユニークな会社が東京にあります。その名も「NEET株式会社」。きちんと登記もされている会社で、2013年11月の設立以来、紆余(うよ)曲折がありながらも事業を続け、現在、新たな取締役を募集しています。これまでの道のりを取材しました。

目指すは“ニートの存在価値の保障”

 NEET株式会社の発案者で代表取締役の一人でもある若新(わかしん)雄純さんによると、同社は「ニートたちが集まり、より充実したニートらしい人生を模索・創作していく実験場」だそうです。「ニート」は一般に「職業に就かず、教育や職業訓練も受けていない状態の若者」を指す言葉ですが、若新さんたちは「雇用されていない若者」という独自の定義で仲間を募っています。

 若新さんに話を聞きました。

Q.NEET株式会社設立の経緯は。

若新さん「2013年春、『ニートを集めて全員が取締役の会社を作る』という企画を、中小企業経営者たちの勉強会で発表しました。300人以上の若者が興味を持ち、どのような会社にするかなどを当事者同士で話し合いました。堂々巡りや不毛な議論も多く、途中で抜ける人もいましたが2013年11月21日、取締役165人の『NEET株式会社』設立の登記を東京法務局新宿出張所で行いました」

Q.設立の狙いは。

若新さん「増え続けるニート的な若者が何を考えているのか、どうしたいのかを知りたかったからです。就職して働かない、働きたくないという若者が『雇用されない』会社の経営者側になれば、新しい働き方や社会との関わり方が見つかるのではないかという思いもありました」

Q.設立後の運営は順調でしたか。

若新さん「メディアで紹介され、ホームページ制作やイベント企画、商品PRなど、さまざまな仕事の依頼が寄せられ、それぞれにチームを作って業務を開始しました。しかし、誰が責任者をやるのか、役割分担をどうするのかなどがうまく話し合えず、受託した仕事はことごとく失敗してしまいました。

会社運営の業務をめぐってもメンバー同士が対立しました。派閥が生じ、お互いの足を引っ張り合う泥仕合が始まったのです。2016年春、『この会社は失敗だったから解散すべきだ』という解散動議が起こり、臨時株主総会が開かれました。

『会社を残したい』という声も根強く、解散動議は否決されましたが、多数のメンバーが取締役を辞任、つまり退社しました」

Q.どのようにして会社を存続させたのですか。

若新さん「私のみが議決権を持ち、その他の取締役メンバーは、全員が議決権のない自社株を毎年1口3000円以上購入するルールに変更することとし、その資金でバックオフィス業務を外注化する仕組みに変えました。『好きな仲間と好きな活動を自由にできる』場所作りに専念することで、メンバー間の衝突は著しく減少しました」

Q.どのような事業を行っているのですか。

若新さん「ニート的生活をネタにしたボードゲーム『ニート人生ゲーム』の商品化や、ニートがお客さまと1時間1000円で遊ぶ『レンタルニート事業』、エナジードリンクとは反対の元気がなくなるようなドリンクを世に出す『ニートドリンク事業』、レトルトカレーを食べて評価する『レトルトカレーを食べる事業』などを展開しています」

Q.ニートだからこそ成功したと思う事業は何ですか。

若新さん「自分の立場を客観的に理解し、そこに自分らしい価値ややりがい、可能性を見いだしたという点では『レンタルニート事業』が最も成功したと思います」

Q.これまでの取締役の推移と、今回の募集予定は。

若新さん「2017年に初めて取締役の追加募集を行い、その後、取締役数は100人前後を推移しています。募集は年1回、継続的に行う予定で、希望者は全員取締役に就任できます。2回目となる今回の募集では、恐らく40~50人程度が新規取締役になりそうです」

Q.今後の抱負を教えてください。

若新さん「この会社を続けていく上で、より大切にしていきたいと考えていることは『社会的な存在価値の保障』です。全ての若者が、自分の立場や役割、居場所を得ることができ、そこで自由に仲間を作り、笑ったり、けんかしたりできる。『自分が社会に確かに存在している』ことを保障するのが役割だと思っています」

(報道チーム)

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