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「恥ずかしい」「制汗剤効かない」…大量の汗をかく「多汗症」の原因や治療法

汗の量が多く、日常生活で苦痛や不便を感じている人は少なくありません。多汗症の原因や治療法について、医師に聞きました。

多汗症の原因や治療法とは?
多汗症の原因や治療法とは?

 汗の量が多い「多汗症」に関して先日、SNS上で話題になりました。厚生労働省は、脇の下の局所性多汗症(腋窩多汗症)の患者数を推定720万人としていますが(平成22年調査)、汗について悩んでいる人は実際に多いようで、「ずっと汗が止まらなくて恥ずかしい」「冬でも汗かく」「制汗剤効かない」「手がびしょびしょになる」「汗っかき体質って治るの?」など、さまざまな声が上がっています。

 オトナンサー編集部では、多汗症の原因や治療法について医師の市原由美江さんに聞きました。

全身性と局所性、原発性と続発性

Q.まず、多汗症とはどのような病気でしょうか。

市原さん「多汗症には、全身の汗が増える『全身性』と、手のひらや足の裏など特定の部位に汗が増える『局所性』があります。いずれも、原因不明の『原発性』と、病気が原因の『続発性』があります。局所性続発性の多汗症の原因としては、脳梗塞や末梢神経障害などがあります」

Q.いわゆる「汗っかき」と多汗症の違いは何ですか。

市原さん「汗の量や感じ方は個人差が大きいため、汗の量などで判断することは難しいと言えます。なお、局所性多汗症の診断基準は以下の通りです。

原因がないまま6カ月以上、局所的な過剰な発汗を認め、(1)最初に症状が出たのが25歳以下であること(2)対称性の発汗が見られること(3)睡眠中は発汗が止まっていること(4)1週間に1回以上多汗のエピソードがあること(5)家族歴が見られること(6)それらによって日常生活に支障をきたすことがある――のうち、2項目以上を満たす場合を多汗症と診断します。

全身性の場合は、原因のない原発性もありますが、病気が隠れていることもあるので注意しましょう」

Q.多汗症に隠れている可能性がある病気とは。

市原さん「全身性の多汗症の場合、多いのが甲状腺機能亢進(こうしん)症です。甲状腺ホルモンが過剰になると多汗を引き起こします。その他、更年期障害や褐色細胞腫、悪性リンパ腫、結核が有名です。一時的な発汗であれば、風邪などの感染症や低血糖が挙げられます。

もともと多汗症ではなかった人が汗をよくかくようになった場合は、これらの病気の可能性があるため、まずは内科を受診しましょう」

Q.多汗症になりやすい人の特徴はありますか。

市原さん「病気が原因で起こる続発性多汗症ではない場合、肥満の人は汗をかきやすくなります。肥満の場合、過剰な脂肪が熱の放散を妨げるため体温が下がりにくくなり、代わりに汗をかくことによって体温調整をするからです。肥満自体は多汗症ではありませんが、肥満の解消に努めることで、汗の量を減らすことができると言えるでしょう。

その他、興奮や不安、緊張などの精神的な要因により、多汗を引き起こすことがあります。これらの緊張や興奮で多少の汗をかくことは普通ですが、多汗症の人はこれらに過剰に反応してしまいます」

Q.多汗症の治療法について教えてください。

市原さん「病気が原因の場合があるので、まずは内科を受診してください。内科的に異常がないようであれば皮膚科を受診しましょう。内服薬や塗り薬、場合によっては注射や手術も考慮されます」

(ライフスタイルチーム)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック勤務。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。