カフェで「席を確保しておいたのに…」 「横取り」行為に法的責任はある? 弁護士が解説
カフェなどに入店した時、店員から先に席の確保を促されたりします。席を確保しておいたのに、他の客に席を横取りされた場合、どのような法的問題が発生するのでしょうか。弁護士に聞いてみました。
大勢の客でにぎわうカフェに入った時に、店員から「お席の確認をお願いします」と言われ、注文前に席の確保を求められることあったりします。そのような場合、荷物やコートなどの私物を希望の席に置いて確保した後、レジでメニューをオーダーしますが、席に戻ったら荷物などが移動させられ、見ず知らずの人が座っていたというケースがあったりします。このような確保していた席を「横取り」する行為に法的問題などがないのか、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。
Q.希望の席に私物などを置くと、その席を確保したものとみなされる“暗黙の了解”があったりします。法的にも、席を確保したものと認められるのでしょうか。
牧野さん「法的には、『座席権』のような権利は認められていませんが、利用者が特定の座席にその所持占有する私物を置くと(いつでもその席に戻れる状態の場合には)、他人がその私物を勝手に動かした場合、その私物の占有を侵害したことを理由として刑法上の窃盗罪に該当する可能性があります。このような時は、他人が、その私物を勝手に動かすことができないため、その意味で、一定の座席確保の権利を取得したものと解釈することができます」
Q.確保した席を横取りする行為に、法的問題はないのでしょうか?
牧野さん「確保した席を横取りする行為がどの様な態様で行われるかによりますが、無理やり座席から排除するなど暴力を行使して『取り戻し』を行えば、暴行罪や相手がけがをすれば傷害罪に当たる恐れがあります。また常識で理解することが難しいですが、横取りした人の占有を侵害したことを理由として刑法上の窃盗罪に該当する可能性があります。形式的には占有を取り戻す行為になり、占有権を侵害することになります。正当防衛とは言えない自力救済は法的に禁止されているからです」
Q.もし、横取りした人に、席を取り返そうと思って「その席は私の席です」と声を掛ける行為は、違法性を問われるのでしょうか。
牧野さん「『その席は私の席です』と声を掛ける程度にとどまれば、違法性を問われることはありません」
Q.カフェの店員から先に席を確保することを促され、荷物などを置いて席を確保したのに、戻ると置いたものが盗まれていた場合、店側に責任を問えるのでしょうか。
牧野さん「ホテルのクロークの様に、店側で預かるサービスを提供している場合には、受寄者として当然に法的な責任がありますが、そうでない場合(店員から先に席を確保することを促される程度)では、各利用者個人の責任となり、店側に責任を問うことは難しいでしょう」
(オトナンサー編集部)
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