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ただの腹痛だと思ったのに「虫垂炎」だった…手術しないと治らない? どんな病気か外科専門医に聞く

手術しないとダメ?

Q.虫垂炎になった場合、手術をしなければ治らないとよく聞きますが、本当なのでしょうか。また、再発する可能性はあるのでしょうか。

大橋さん「根治するためには、虫垂を切除する必要があります。緊急手術が第一選択の時代が長く続きましたが、最近は、多くの症例が保存的治療、具体的には抗菌薬の内服もしくは点滴での治療が行われています。

この保存的治療が無効な場合、あるいは、腹膜炎などを併発していて、状況が深刻な場合はすぐに手術が行われることがあります。

当院の場合、一度、保存的治療を行っても再燃する恐れがあるため、いったん炎症が鎮まった後、改めて手術を行う提案をします。

先述の保存的治療も、病状に応じて対応が異なります。軽症に対しては内服のみ、中等症には点滴を併用します。状況によっては、入院の上、安静にさせるほか、消化管を休ませるために食事を止めることもあります」

Q.虫垂炎の発症をできるだけ防ぐ方法はありますか。

大橋さん「暴飲暴食や過剰なストレス、免疫機能を低下させるような状況は、虫垂炎の発症リスクを高めると思われます。そもそも、大腸とつながっている虫垂の内側は粘膜で連続しており、その中身は無菌ではありません。

大腸は大便の通り道であり、大腸菌をはじめとする細菌が無数に存在します。健康なときにはこれら腸内細菌が互いにバランスを取り合っている状態ですが、何らかの理由で破綻すると病原菌が優位となり、虫垂内腔から侵し始めるのです。虫垂炎は通年発症しても不思議ではありませんが、どちらかというと夏に発症するケースが多いといわれています。

虫垂炎の原因は分かっていません。そもそもなぜ虫垂が存在するのかも分かっていませんが、原始時代の食生活に適応し、何らかの消化吸収の機能を担っていた可能性が示唆されています。他の哺乳動物より虫垂炎になる頻度は高いです。

一度も虫垂炎になったことがない虫垂を切除してしまうことは倫理的に問題があると思いますが、一度でも虫垂炎を経験したことがあるのであれば、虫垂切除術を受けるというのが最も確実な予防法と言えると思います。

虫垂炎には『単純性』と『複雑性』という概念があります。単純性の場合、手術は短時間で済むものがほとんどで、その後の経過も大概順調です。そのため、私が勤務するクリニックでは、日帰り手術で対応しています。

一方、複雑性はこれでは済まない恐れがあるもので、例えば、『虫垂が破裂してしまった』『虫垂炎が悪化し、腹膜炎になった』『膿瘍を伴った虫垂炎』というものです。これらのケースの場合、薬で炎症がいったん治まった状態であっても、手術に臨んだ場合の合併症の発生率が高いため、根治手術の適応については慎重に検討します。

特に虫垂切除のみならず、大腸と小腸の一部もまとめて切除する術式である『回盲部切除』に移行する可能性がある場合は、患者さんの消耗が大きいため、日帰り手術の適応外となります」

 腹部の痛みが続く場合や腹部に違和感を覚えた場合は、虫垂炎の可能性も考慮し、医療機関を受診するのが望ましいかもしれません。

(オトナンサー編集部)

【画像】「知らなかった!」 これが「虫垂」の位置です

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大橋直樹(おおはし・なおき)

日帰り手術専門施設「東京外科クリニック」創設者・院長、日本外科学会認定外科専門医

1978年東京都生まれ。2004年日本医科大学卒業。臨床研修修了後、慶応義塾大学医学部外科学教室入室。2010年まで同教室助教を務め、その後は民間病院で腹腔鏡手術の術式開発に尽力した。2015年に「東京外科クリニック」(東京都千代田区)を開院。腹腔鏡手術と日帰り全身麻酔の品質管理に務める。代表的な腹部外科手術である虫垂切除と鼠径(そけい)ヘルニア修復術の腹腔鏡での実績多数。東京外科クリニック(https://www.tokyogeka.com/)。

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