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派手すぎる「自宅イルミネーション」で近隣住民が大迷惑! 法的問題はないの? 弁護士に聞いた

自宅でイルミネーションを楽しむ一般家庭の中には、「深夜までチカチカして迷惑」「睡眠妨害」と近隣が迷惑を被っているケースもあるようです。法的な問題はあるのか、弁護士に聞いてみました。

場合によっては近所迷惑に?(画像はイメージ)
場合によっては近所迷惑に?(画像はイメージ)

 もうすぐクリスマス。街中で、色とりどりの華やかなイルミネーションを見かける時期です。最近は自宅や庭などを電飾し、オリジナルのイルミネーションを楽しんでいる一般家庭も少なくなく、通りかかった人が見物するケースもあります。

 しかし、こうした家が近所にある人の中には、「深夜までチカチカされると迷惑」「隣の家の電飾が派手すぎて、うちの中までまぶしい」「普通に睡眠妨害」「こっちが遮光カーテンを買わないといけないのがモヤモヤする」「家の中だけでやって」と考える人や、「法的に問題あるのでは」と疑問を抱く人も少なからずいるようです。

 近所に迷惑をかけるレベルの“派手すぎる”自宅イルミネーションに、法的な問題はないのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

「受忍限度」を超えていたら損害賠償請求も

Q.そもそも、「自宅でイルミネーションをする(家を電飾して点灯する)」ことに、何らかの法的問題はあるのでしょうか。

牧野さん「一戸建て住宅については、環境省の『光害(ひかりがい)対策ガイドライン』が、光害を『良好な光環境の形成が、人工光の不適切あるいは配慮に欠けた使用や運用、漏れ光によって阻害されている状況、またはそれによる悪影響』と定義していますが、近所迷惑にならない範囲であれば、イルミネーションの法律での規制は特にありません。

マンション(集合住宅)のベランダにイルミネーションを設置する場合には、管理規約で定められていれば、それに従うことになります。『ベランダが避難経路である』『景観を損ねる』などの理由で禁止している規約もあります。『隣人が設置しているから大丈夫』と判断するのは避けるべきです。管理規約に『イルミネーション禁止』の記載がなくても、管理組合に問い合わせて了承を得てから設置するようにすべきでしょう」

Q.仮に、自宅のイルミネーションが「深夜まで点灯している」「強いまぶしさを感じるほど電飾が多い」といった状況により、近隣の住民が迷惑を被った場合、損害賠償請求は可能なのでしょうか。

牧野さん「イルミネーションの光が近隣の居住者の安眠を害し、一般の人から見て『受忍限度』(我慢の限界)を超える程度であれば、民法の『不法行為』に基づき、イルミネーション設置者に対して、設置行為の差し止めや損害賠償を請求できる可能性があります」

Q.クリスマスが近い時期などは特に、自宅を電飾してイルミネーションを楽しむ人も増えると思います。ご近所トラブルや法的問題に発展しないために、意識すべきこととは。

牧野さん「先述したように、法律による明確な規制や罰則はありませんが、イルミネーションを設置する場合には、周囲に配慮しながら常識の範囲内で楽しむべきです。『就寝の妨げにならないように深夜の点灯を避ける』『発火のリスクを低減するためにLEDタイプのものを設置する』といったことも常識として配慮すべきでしょう」

(オトナンサー編集部)

牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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