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「漢方薬」って処方箋いらないの? 「西洋薬」との違いも、薬剤師に聞いてみた

 生薬をいくつも組み合わせて作られる医薬品「漢方薬」。処方箋がなくても漢方薬を受け取っても平気なのか、また、「西洋薬」(新薬)との違いについて、薬剤師に疑問を聞いてみました。

漢方薬は保険適用内で処方されることもある

さまざまな素材から漢方薬として錠剤などの形状になる
さまざまな素材から漢方薬として錠剤などの形状になる

 植物や鉱物の一部など生薬をいくつも組み合わせて作られる医薬品「漢方薬」。「薬」と書かれている以上、処方箋が必要なのではないかと思っている人も少なくないと思います。そこで、薬剤師の真部眞澄さんに、処方箋がなくても漢方薬を受け取っても平気なのか、また、「西洋薬」(新薬)との違いについてなど、さまざまな疑問を聞いてみました。

Q.そもそも「漢方薬」と「西洋薬」との違いはどのような点がありますか?
堀内さん「漢方薬は天然の生薬を複数種類ブレンドして構成されたもので、エキスや錠剤などの形状をしています。

『なんとなく体がだるい』といった原因が特定できない慢性的な疾患や、体質を起因とする症状によく用いられます。ゆるやかに状況を改善する処方が多いため即効性を期待するのではなく、まずは2週間程度服用しながら様子を見るのが良いと言われています。

一方で西洋薬は、基本的に一つの有効成分で構成され、人工的に化学合成された薬を指します。

原因が特定できる疾患や緊急性の高い症状に対して、早くアプローチできる処方のものが多いです。ただし、その分副作用が出やすい傾向にあったり、他の薬との相互作用に注意を配る必要があります」

Q.薬剤師の方に漢方を処方してもらうことはできるのでしょうか?
堀内さん「漢方薬は、一般的な調剤薬局でも医師からの処方箋をもとに保険適用内で処方されることもありますが、『漢方薬局』では薬剤師自身が患者の症状をもとに漢方薬の選定をします。

これは厳密には『処方』ではなく『選定して販売する』扱いになるため、医師の処方箋がなくても販売が可能なんです。

漢方薬局では漢方の知識に精通した薬剤師が、一人一人の症状や改善点をじっくりとヒアリングしながら選定を行うため、よりパーソナルな症状に合わせた選定ができるというメリットがあります。

ただし、漢方薬局での販売は保険調剤にあたらないため、支払いはすべて自己負担となり、さらに薬局によって金額にばらつきがあるという点も注意が必要です」

Q.漢方薬の服用によるメリット・デメリットはありますか?
堀内さん「一部の漢方薬は即効性を期待できるものもありますが、ほとんどの処方では効き目が緩やかなため、慢性的・体質的な体調不良などには長期服用によって改善が期待できます。

ただし、肝機能・腎機能が低下している方が長期服用をすることで、併用薬との飲み合わせにより副作用が強く出る可能性がありますので注意が必要です。

また、急性疾患により処方される漢方は基本的に長期服用は推奨されません。どの程度服用を続けるのかは、事前にしっかりと薬剤師や医師に確認を取っておきましょう」

 漢方薬は医師に処方されるケースだと保険適用が効くため、最も安値で購入することができます。一方で、漢方薬局では自費購入にはなるものの、病院やドラッグストアなどでは取り扱いのない豊富な種類の漢方薬から、患者一人一人の症状や悩みごとに合った漢方の選定をしてもらえます。病気ではなく、なんだか最近慢性的に体調がすぐれないという方は一度、漢方薬局を訪れてみるのもいいかもしれません。

(オトナンサー編集部)

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