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「うなぎ」「タケノコ」は胃腸への負担大? 実は「消化に悪い」食べ物7選

風邪など体調を崩したときは、胃に優しい食事を求めるものですが、実は「消化に悪い食べ物」の中には意外なものも含まれているようです。管理栄養士が解説します。

どんな食べ物が「消化に悪い」?
どんな食べ物が「消化に悪い」?

 風邪をひいたときや、胃腸の調子がよくないときは、胃に優しい食事を欲するようになるもの。しかし、食べ物によっては消化に時間がかかってしまい、胃にさらなる負担をかけてしまう恐れのあるものもあるようです。どんな食べ物が「消化に悪い」といえるのでしょうか。管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。

脂肪分が多いと、消化に4~5時間かかる

Q.一般的に、「消化に悪い」といわれる食べ物の共通点はありますか。

岸さん「基本的には、炭水化物<タンパク質<脂質の順に、消化に悪い食べ物が多くなっていきます。消化に悪いとされる食べ物に共通する点は、『繊維質が多い』『脂肪が多い』の2つで、その理由は次の通りです」

【繊維質が多い】

食物繊維は便秘の予防だけでなく、血糖値上昇の抑制や、血中コレステロール濃度の低下など、さまざまな生活習慣病の予防に効果があります。多くの日本人に不足しがちな栄養素なので、通常は積極的に摂取することが勧められますが、食物繊維は「ヒトの消化酵素で分解されない食物中の総体」と定義されているように、小腸で消化吸収されず、大腸まで達するため、消化に悪い食べ物とされています。

【脂肪が多い】

脂肪の消化については、「消化管ホルモン」が脂肪の消化吸収を促す一方、胃の運動を抑える作用もあるため、食べたものを胃にとどまらせます。そのため、脂質は食物繊維と同様、消化・吸収に時間がかかり、胃腸の負担が多くなるのです。

食べ物が胃に滞留する時間は平均2~3時間といわれていますが、天ぷらやバラ肉といった脂肪分の多い食べ物は、消化に4~5時間程度かかります。調理法においては「ゆでる<蒸す<煮る<炒める<揚げる」の順番で脂質が多くなるので、消化をよくするためには脂質を控えた調理法を選択しましょう。

Q.栄養の観点から見て、「消化に悪い」といえる食べ物の具体例を教えてください。

岸さん「特に消化に悪いといえる食べ物は次の通りです。胃に滞留する時間の長さで示しています。

【天ぷら、ベーコン、ウインナー、うなぎ】

・滞留時間…4~5時間程度
・全体的に脂質が多い

【ビーフステーキ】

・滞留時間…4時間程度
・脂質が多い。煮るよりも焼く方が、輸入よりも国産肉の方が、脂質の量が多くなることにも注意

【タケノコ】

・滞留時間…4~5時間程度
・水に溶けない「不溶性食物繊維」が豊富なため

【ナッツ類】

・滞留時間…3.5時間
・脂質が多い上、不溶性食物繊維も含まれているため

なお、『ご飯は2.5時間、おかゆは2時間以内』といったように、基本的には加熱調理してやわらかくした方が、滞留時間が短くなり、消化しやすくなります。ただし、例えば卵の消化の場合、半熟では1.5時間以内ですが、固ゆで卵だと3.5時間かかるなど、加熱のし過ぎで逆に消化されにくくなる食材もあります。

Q.風邪をひいたときや胃腸の調子がよくないとき、特に推奨しない「消化に悪い食べ物」を教えてください。

岸さん「体調が悪いときにはそもそも受け付けない人が多いとは思いますが、特に推奨しない食べ物は、天ぷらや唐揚げなどの揚げ物類です。また、調理が簡単だとしても、カップ麺は脂質が多いため推奨しません。

比較的消化のいいご飯類も、玄米や雑穀米などは繊維量が多くなります。また、チャーハンやピラフなど、調理で油を多く使用した料理も消化に時間がかかるようになるため、注意しましょう。また、ビタミンやミネラルは必要ですが、先述したように食物繊維が多いものはお勧めしないので、ゴボウやタケノコ、キノコ類も避けた方がよいです。

なお、消化とは別ですが、コーヒーなどのカフェインが多く含まれるもの、酸味の強いもの、香辛料など胃腸を刺激するものや、アルコールについても、胃腸の調子がよくないときには控えましょう。

そもそも、食事を受け入れられないような状態では、消化に良いとされるものも食べるべきではない場合があります。自分での判断が難しいときは、無理に食べる前に医療機関を受診してください」

(オトナンサー編集部)

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岸百合恵(きし・ゆりえ)

プロボクサー、管理栄養士、日本糖尿病療養指導士

病院食の管理・調理業務や企業での特定保健指導を経て、生活習慣病診療を専門とするクリニックにおいて5年間、栄養指導を実施。アスリートとしても夢を追い掛け、2017年に日本ボクシングコミッション(JBC)のプロテストに挑戦し、一発合格。「闘う管理栄養士」として、チャンピオンを目指して日々トレーニングに励みながら、ボディーメークや健康管理の指導を行う。現在は、スポーツ・睡眠歯科分野の診療を行う歯科医院で、アスリートへの食事指導や、一般患者へのダイエット、フレイル・サルコペニア予防の指導を行う他、内科クリニックで生活習慣病患者に対する食事指導を行っている。

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