症状が長引く人も…排便時に「下痢」、なぜ? 対処法を医師に聞く
排便時に下痢が生じることがありますか。なぜなのでしょうか。医師が解説します。

排便時に下痢が生じることがあります。症状が一時的な人もいれば、長続きする人もいるようで、SNS上では、「数日前から下痢に悩まされている」「10日ほど腹痛からの下痢が続いている」といった声も上がっています。
そもそも、なぜ下痢が生じるのでしょうか。下痢が続くときは、どのような病気の可能性が考えられるのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。
感染性胃腸炎が主な原因
Q.そもそも、下痢が生じる原因について、教えてください。主にどのような原因が考えられるのでしょうか。
市原さん「一般的に、細菌やウイルス感染による感染性胃腸炎の発症時に生じます。また、過度にアルコールや脂肪を摂取したり、冷えなどにより胃腸に負担をかけたりしたときも、下痢を引き起こします。他には、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の症状としても有名です」
Q.「過敏性腸症候群」という病名をよく聞きますが、一般的な下痢と何が違うのでしょうか。
市原さん「過敏性腸症候群は、腸に異常を認めないにもかかわらず、慢性的な下痢や便秘を繰り返す病気です。下痢型、便秘型に分かれますが、両者の混合型も存在します。
原因はまだはっきりと分かっていませんが、ストレスや生活習慣の悪化による自律神経の乱れの可能性が指摘されています。感染性胃腸炎の後に発症することもあり、何らかの免疫が関与している可能性もあります」
Q.下痢が生じたときの対処法について、教えてください。すぐに市販の胃腸薬を服用した方がよいのでしょうか。それとも、様子を見ても問題ないのでしょうか。
市原さん「軽い下痢であれば、水分をよく摂取して、胃腸に優しい食事を意識することで、十分対応できます。下痢がひどく、特に嘔吐(おうと)も伴うような脱水の可能性もある状態の場合、早めに病院を受診しましょう。
例えば食中毒で下痢になった場合、症状は2~3日程度で治まることがほとんどです。1週間以上続くようであれば、別の病気の可能性もあるので受診しましょう」
Q.下痢の症状が出やすい時期はあるのでしょうか。
市原さん「過敏性腸症候群のように、精神的な要因で下痢をきたすケースは少なくありません。環境が変わる春は、精神的にも肉体的にもストレスが大きいので、素因(その病気にかかりやすい素質)がある人は症状が出やすい時期といえます。
ただし、下痢が続いても自己判断でストレスだと思い込むのは危険です。長引く場合は炎症性腸疾患の可能性もあるので、消化器科に相談してください」
(オトナンサー編集部)
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