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赤ちゃんと2人きり、給料ほぼなし…それでも「遠距離婚」を選んだ夫婦の“決断”

意図的に“一緒に暮らさない”生活スタイルを選択した夫婦。そこには、「お互いの夢」「子育ての価値観」など、夫婦それぞれの事情がありました。

「遠距離婚」「週末婚」を選んだ夫婦の事情とは…
「遠距離婚」「週末婚」を選んだ夫婦の事情とは…

 単身赴任とは異なる、意図的に“一緒に暮らさない”「遠距離婚」や「週末婚」をしているカップルの話を耳にするようになりました。子どもがいないケース、いるケースの両者があります。今回は、子どもがいながら遠距離婚、週末婚を選んでいる夫婦をご紹介します。

お互いの夢のために「遠距離婚」を選んだ夫婦

 大学で講師を務める真澄さん(33歳、仮名)と国雄さん(38歳、同)には3歳の子どもがいます。子どもが生まれる前、夫婦一緒に生活をしていた当時、会社員だった国雄さんはある職人になる夢が諦めきれず、弟子入りする先を探していました。そんな中、真澄さんの妊娠が分かったのとほぼ同時期に、弟子入り先が見つかります。

 夫が会社員をしながら「職人になりたい」という夢を持っていたこと、受け入れ先を探し、節約・貯金して頑張っていたことを知っていた真澄さんは、送り出すことを決意しました。もちろん不安は拭えません。

 宮城県への弟子入り期間中、給料はほぼ出ないため、国雄さんの生活だけで精いっぱいの状況です。帰宅するときは新幹線でなくバスを使うなど、節約は続きます。

「それでも妻は、『赤ちゃんの桜(仮名)と私の2人なんだから、お金はかからないし大丈夫』って言ってくれたんです。本当にありがたいです。弟子入りして丸3年。ようやく職人らしいことができてきたかなと思っています。早く一人前になって、妻と子どもに恩返ししたいです。子育てを任せっきりにしているのは、申し訳ないと思っています。

妻も、今の大学での仕事に誇りを持って続けていますし、家族3人が一緒に暮らせるのはいつになるか分かりません。それでも毎日、連絡を取り合っていますし、月に一度は会います。お互いを思いやる気持ちがあれば、それで充分だと僕は思います。一度の人生ですから、お互いのやりたいことを尊重し合う気持ちが一番大切なのではないでしょうか」

 真澄さんは、小さな子どもの保育園の送り迎えから、大学での仕事、おそらく授業の準備など、並べたらきりがないほどやることが多かったと思います。それでも夫の夢を応援する、自立した妻だと感じます。

 金継ぎ職人を目指す、農業のために地方へ移住する、民宿を始める……。こうしたさまざまな夫側の夢を「わがまま」「ジコチュー」「家族のことを考えていない」と斬り捨てる妻の話が圧倒的に多いので、真澄さんの事例は印象的でした。

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三松真由美(みまつ・まゆみ)

恋人・夫婦仲相談所 所長(すずね所長)・執筆家

夫婦仲・恋仲に悩む女性会員1万3000名を集め、「結婚・再婚」を真剣に考えるコミュニティーを展開。セックスレス・ED・女性の性機能に詳しく、性を通して男女関係をよくするメソッドを考案。20代若者サークルも運営し、未婚世代への結婚アドバイスも好評を呼ぶ。恋愛・夫婦仲コメンテーターとしても活躍中。また、フェムテックの分野で女性を支援する企業「Glad」を創業し、新しいサービスを手掛けている。著書は「夫婦の『幸せ循環』を呼ぶ秘訣」(講談社)「モンスターワイフ」(同)「40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣」(扶桑社)「堂々再婚」(wave出版)など多数。コミック「『君とはもうできない』と言われまして」(KADOKAWA)の監修も手掛ける。恋人・夫婦仲相談所(http://fufunaka.com/)、公式LINEアカウント(https://lin.ee/oTQa13s)、公式note(https://note.com/suzune_16)、Glad(https://www.glad.tech)。

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