彼が既婚者と判明した気象予報士etc 「CLASSY.」連載のユニークなモデル設定、どう制作?
女性ファッション誌「CLASSY.」の連載ページが「重すぎる」と話題に。5月号は、女性モデルが「彼が既婚者で子どもがいたことが判明した気象予報士」との設定で、SNS上で大きな反響を呼んでいます。

女性ファッション誌「CLASSY.」(光文社)の連載ページの内容が「重すぎる」とSNS上で話題となっています。連載は、女性モデルが特定の職業や立場を演じ、ストーリーを交えながら1カ月分の着回しコーディネートを紹介するというもの。5月号では、女性モデルの立場を「付き合っていた彼が既婚者で子どもがいたことが判明した気象予報士」と設定し、SNS上では「思わず吹いた 深刻すぎるやろ…」「重たいわ」「着回ししている場合かよ」「もう着替える気力もない」「今回は強烈だった」などの声が上がっています。この連載について「CLASSY.」の今泉祐二編集長に聞きました。
刑事・劇団員・鉄道オタクなどの企画
連載「着回しDiary」は、女性モデルが主人公を演じ、仕事や恋愛で悪戦苦闘する様子を約10ページにわたり掲載します。30日もしくは31日分の着回しコーディネートを紹介し、最後は主人公が男性に告白され、ハッピーエンドで終わるのが定番です。今泉編集長によると、「着回しDiary」は読者アンケートで常に上位5位に入る人気ぶり。
毎月、人気ページをどのように制作しているのでしょうか。
Q.「CLASSY.」の編集部は何人いますか。
今泉さん「編集長の私を含めて9人です。女性6人、男性3人です」
Q.着回しの連載ページはいつから始めたのですか。
今泉さん「それ以前もポツポツとやっていましたが、連載という形でやり始めたのは2009年頃です。最初は今ほどストーリーにこだわっているわけではありませんでしたが、私が編集長に就任してからは、ページを面白くしようと取り組んできました。他社のファッション誌にはないような、変わったことをやりたいという思いは常にあります」
Q.ストーリーの設定が面白いですが、アイデアはどうやって考えているのですか。
今泉さん「とにかく、普通じゃない設定が面白いんじゃないかと考え、さまざまなアイデアを巡らせています。例えば、流行のドラマだったり職業だったり、みんなが『あっ、あれだ!』と想像がつくような要素を取り入れています。だんだんOLの要素から外れていきますが、毎月同じようなことをやっていると飽きてきますし、1カ月分のファッションの予定がありますからね。女性スタッフだけでネタを考えると、だんだん苦しくなってきます。そこで男性編集者が積極的に加わり、あまり女性が考えないような自由な発想をすることで、新たなアイデアが生まれてきます。読み物としての面白さを追求しているので、実際OLの方に役立つかどうかは分かりませんが(笑)」
Q.ページの企画はどのように決めていくのですか。
今泉さん「まず、月に2回行う会議で8人の編集部員が各自、ネタを出し合います。その中から最も良い企画を選び、それを出した編集部員がページを担当します。企画はだいたい発売2カ月半前に決定します。なお、ストーリーのリアル感を出すために、企画が決まった段階で実際にその職業に就いている人に取材します」
Q.取材はどのように進めるのでしょうか。
今泉さん「例えば5月号で掲載した『気象予報士』もそうですが、仕事の概要はもちろん、どんなライフスタイルを送っているかも聞きます。ただし、職業によっては1カ月間、同じような業務が続き、そのままでは内容がふくらまない場合もあります。その場合は、フィクション的な要素を織り交ぜてバランスを取っています。なので、実際にその職業の方からは『この設定はありえない!』と言われることもありますけどね(笑)」
Q.これまで反響が大きかった女性の職業やシチュエーションは。
今泉さん「『刑事』『劇団員』『想像妊娠』『鉄道オタク』の企画です。2015年1月号の『鉄道オタク』では、俳優の坂口健太郎さんがモデルとして出ています。2011年3月号で掲載した『刑事』の企画は、人気ドラマ『踊る大捜査線』と同じロケ地で撮影しました。パトカーを借りたほか、シェパードを連れて鑑識の現場を再現したり、射撃訓練の場面を加えたりするなどして、リアリティーを追求しました。人気ドラマをベースにストーリーを作ったことは何度かあります」
Q.「刑事」のような職業とファッションをどう関連づけるのでしょうか。
今泉さん「『刑事』はそもそもパンツの着回し特集をやろうというのがきっかけでした。『パンツを毎日来ている人は誰だ』という話から始まり、『動きやすくて活動的な職業なのは刑事じゃない?』という発想に至りました。2016年9月号に掲載した『想像妊娠』の企画では、主人公がいきなり、悪阻(つわり)のような症状に襲われる場面からスタートします。なぜかというとフラットシューズの特集をやりたかったんです。妊娠していたらヒールを履かないだろうということで、フラットシューズを毎日履いている女性の1カ月を紹介しました。『劇団員』は、役作りのために太らなければならない女性劇団員が主人公です。これは『太っていてもスタイルが良く見える服』という発想からスタートしました。ウエストがゴムになっていてお腹が楽な服とか、ストレッチが効く服などを紹介しています。2017年4月号は『GUでトレンドお試し』をテーマに、母親の入院費、弟の学費のために生活費を節約する女性を主人公にしました」
コメント