“魚の骨”が喉に刺さった! 「ご飯をかまずに丸のみ」する対処法、本当に正しいの? 内科医に聞いた
魚の骨が喉に刺さったとき、「ご飯をかまずに丸のみする」という対処法が昔からよく知られています。しかし、この方法は本当に正しいといえるのでしょうか。内科医に聞いてみました。
焼き魚や煮魚を食べている最中、喉に痛みや違和感を覚え、「骨が刺さったかも…」と焦った経験がある人は多いと思います。
喉に「魚の骨」が刺さったときの対処法として、親や祖父母から「ご飯をかまずに丸のみする」方法を教わったことがある人も多いのではないでしょうか。「子どもの頃、実際に丸のみさせられた」という人もいる中、「本当に丸のみして大丈夫?」「逆に危なくない?」「結局取れなかったような記憶が…」と効果を疑問視する声や、「あの違和感がしばらく続くときは病院に行こうか悩む」など、骨が取れないときにどうすればよいか迷うという声もあります。
喉に「魚の骨」が刺さったとき、昔からよく言われている「ご飯を丸のみする」方法は本当に有効なのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。
骨が「より深く刺さる」リスクも
Q.魚の骨が刺さると、喉はどんな状態になると考えられますか。
市原さん「骨が喉や食道に刺さってしまうことがあるのは、魚をよくかまずにのみ込んだ場合です。症状としては喉の違和感や痛み、食べ物をのみ込んだときの痛みがあり、場合によっては出血もあり得ます。サンマやアジ、ウナギなどの細かい骨は深く刺さりにくいので、出血を伴うことは少ないですが、タイやサケ、ブリなどの太くてしっかりした骨の場合、刺さった場所や深さによっては出血する可能性があります」
Q.喉に骨が刺さったと思われるとき、「ご飯をかまずに丸のみする」「ご飯をできるだけたくさんのみ込む」方法は実際に有効といえますか。
市原さん「確かに、昔からそう言われてきましたが、実際はご飯を丸のみすることで骨がより深く刺さってしまい、悪化する可能性があるため、現在は推奨されていません。特に、子どもや高齢者は嚥下(えんげ)機能が弱いため、よくかまずに丸のみするのは危険です。窒息や誤嚥(ごえん)性肺炎を起こす可能性があります」
Q.丸のみの他、「水を勢いよく、ゴクンと飲み込む」「うがいをする」「せきをする」「箸や自分の指を突っ込む」などの方法で、自力で取ろうとする人もいるようですが、これらの方法はどうでしょうか。
市原さん「水を飲んだり、うがいをしてみたりすることは、小さな骨であれば取れる可能性もありますし、状態が悪化する危険性はないので試してみてもよいと思います。せきをすることは、あまり意味はないでしょう。箸や指などを使って自分で取り除こうとすることは、粘膜を傷つける可能性があるのでやめましょう」
Q.「骨が喉に刺さったまま放置しても、喉で自然に溶けるから大丈夫」と考える人もいるようですが、事実でしょうか。
市原さん「小さな骨であれば、数日以内に自然に取れることはよくありますが、骨が自然に溶けてなくなることは考えにくいです」
Q.魚を食べた後、激しい痛みはないものの、何となく喉に違和感がある状態がしばらく続くケースもあるようです。このようなとき、どうするのがよいですか。
市原さん「骨が取り除かれていても違和感が続くことはありますし、骨が刺さったままで違和感が持続していることもあるので、自分で判断するのは難しいと思います。2、3日たっても改善しないようなら、耳鼻咽喉科を受診してください。
ちなみに、最初にかかりつけの内科や小児科を受診する患者さんもいますが、基本的には対応できないと考えてください。そもそも、耳鼻咽喉科以外には、喉の奥を見る器具などがないためです。喉に骨が刺さったときは必ず、耳鼻咽喉科を受診しましょう」
Q.病院をすぐに受診した方がよい状態の目安は。
市原さん「骨の太さや長さにもよりますが、先述の通り、サンマやアジ、ウナギなどの細かい骨の場合は深く刺さる可能性は低いので、数日様子をみてもよいです。心配であれば、耳鼻咽喉科を受診するのがよいですが、夜中であれば、翌日以降の受診にするなど特段急ぐ必要はありません。ただし、痛みが強い場合は別です。
一方、タイやサケ、ブリなどの太くて長い骨を持つ魚の場合は、出血や炎症などの可能性があるので、すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。夜中であれば、救急病院に相談しましょう」
Q.子どもが魚を食べる際、親が気を付けるべきポイントとは。
市原さん「子どもの場合、自分の異常をうまく訴えることができないので、特に注意が必要です。魚を食べている途中やその後にご飯を食べなくなったり、のみ込まなくなったりした場合は、骨が刺さっている可能性を疑わなければいけません。他にも、痛がることが続いたり、発熱したりした場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診してください」
(オトナンサー編集部)
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