今日は「土用の丑」! ウナギってどのくらい栄養あるの? 管理栄養士に聞いてみた
「土用の丑の日」に食べる習慣のある「ウナギ」。スタミナ食材のイメージがありますが、実際のところ、どのくらい栄養があるのでしょうか。管理栄養士に聞いてみました。

2022年の「土用の丑(うし)の日」は7月23日です。この日といえば、「暑い時季を乗り切れるように」と、栄養価の高いウナギを食べる習慣が知られています。確かに、ウナギはスタミナのつく食べ物というイメージが一般的ですが、「どのくらい栄養あるの?」「皮が栄養豊富って聞くけど…」など、実際の栄養価に関する疑問の声もあるようです。
スタミナ食材でおなじみのウナギは実際のところ、どのくらいの栄養やカロリーがあるのでしょうか。管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。
カロリーが高いのは…実は「白焼き」
Q.ウナギには、どんな栄養が含まれているのでしょうか。
岸さん「ウナギはスタミナ食品の代表格とされ、体にとって大切な栄養素がたっぷり含まれています。カリウム、カルシウム、鉄、銅といった栄養により、目の疲れや肩こりなどを和らげ、余分なナトリウムを排出し、骨を丈夫にしてくれる効果などが期待でき、夏バテ解消にぴったりの食材といえるでしょう。中でも、特に豊富に含まれている栄養素は次の通りです」
【ビタミンA、B】
豊富な栄養素の中でも、皮膚や粘膜、目を健康に保つビタミンAは食材の中でも抜群に多く含まれており、1尾で一日に必要な摂取量をほぼ完全に取ることができます。ビタミンAは脂とともに摂取することで吸収率が上がるため、ウナギとの相性もよいのですが、過剰摂取で健康に害となる『過剰症』発症のリスクもあるため、ウナギの食べ過ぎには注意が必要です。
また、脂質やタンパク質、糖質の代謝を助けるビタミンB1、B2、B6も豊富で、疲労回復効果に優れています。
【EPA・DHA】
良質な脂質であるEPA(エイコサペンタエン酸)は、血液や血管の健康維持には欠かせない成分であり、血中のコレステロールや中性脂肪の値を下げる働きもあります。DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳の発達、成長に欠かせません。意外にもウナギは、青魚の代表であるサンマと同程度、またアジやサケよりも多くDHA、EPAを含んでいます。
Q.ウナギのカロリーについてはどうでしょうか。
岸さん「濃い口しょうゆや酒、みりん、砂糖などを合わせたたれにつけて焼く『かば焼き』の場合、100グラム当たり293キロカロリー、1食分(150gグラム)では440キロカロリーです。それに対し、たれや油をつけずにそのまま焼き上げた『白焼き』の場合、100グラム当たり331キロカロリー、1食分(150グラム)では497キロカロリーです。
白焼きは甘いたれがついておらず、見た目もさっぱりして見えるので、かば焼きよりもカロリーが低いと思われがちですが、実は白焼きの方がカロリーは高いです。これは焼き方の違いによる差で、一度しか焼かない白焼きに対し、かば焼きは一度焼いた後にたれをつけてまた焼くため、魚の脂が落ちやすく、カロリーも下がりやすくなるのです」
Q.土用の丑の日によく食される「うな重」「うな丼」の栄養素とカロリーの目安とは。
岸さん「丼に入った『うな丼』と重箱に入った『うな重』は量の違いだけで、ウナギの質は基本的に同じです。うな丼と比較してうな重は、ウナギの量がおおよそ1.5倍~2倍、ご飯の量が0.5倍程度でしょう。カロリーは、うな重が900~1000キロカロリーに対し、うな丼は700~800キロカロリーとなっています」
Q.一方で、ウナギを食べるだけでは不足しがちな栄養素もあるのでしょうか。
岸さん「先述の通り、ウナギにはさまざまな栄養素が豊富に含まれていますが、その一方で食物繊維は全く含まれず、ビタミンCの含有量は微量です。ウナギを食べる際はビタミンCが豊富なブロッコリーやパプリカなどをサラダに使用したり、食物繊維が豊富なワカメやモズクなど、海藻類の酢の物を副菜として組み合わせたりするとよいでしょう。
また、野菜やキノコをたっぷり入れたみそ汁、すまし汁などを添えれば、栄養素を補いやすくなります。このような副菜や汁物を組み合わせることで、ウナギの食べ過ぎを防ぐことができる上、ウナギの気になる脂質やカロリーの過剰摂取を防ぐ効果も期待できます」
(オトナンサー編集部)
コメント