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コロナで減少? 「立ち会い出産」のメリット/デメリットとは 産婦人科医の見解

無理な立ち会いはマイナスに…

Q.妻は立ち会いを希望しているものの、夫が希望しない(立ち会いたくない)ケースも少なくないようです。

尾西さん「夫婦間の問題なので、こうした場合に医療者側から何かアクションをすることはできません。立ち会いの間ずっと、スマホをいじっている男性を見たこともあるので、無理に立ち会うのはマイナスだと思います。やはり、まず、事前に2人でしっかり話し合うことが一番です。

また、立ち会いたくない理由によっては医療者側の配慮で解決できることもあるので、『なぜ、立ち会いたくないのか』をしっかりお話ししていただけたらと思います。最初は希望していなくても、実際に立ち会ったら、『立ち会い出産にしてよかった』という声もたくさん聞きます」

Q.夫婦で立ち会い出産を希望すると決めた場合、出産を迎えるまでにどのような準備や心構えをするとよいでしょうか。

尾西さん「女性は『腰をさすっていてほしい』『生まれた瞬間の写真を撮ってほしい』『お尻の方には行かないでほしい』など、夫にしてほしいこと/してほしくないことをきちんと伝えておきましょう。男性は何があっても驚かないように、心構えをしておいていただけたらと思います。

時には予想以上の出血をすることもあれば、普段おとなしい女性が、聞いたこともないような声でいきむこともあります。全てを受け入れる気持ちで臨んでみてください。味わったことのない感動に立ち会えると思いますよ」

Q.コロナ禍の影響が長期化する中、ウィズコロナにおける今後の立ち会い出産はどうなっていくと思われますか。

尾西さん「まだまだ、コロナが落ち着く見込みがない現在、立ち会い出産ができないことに加え、妊婦健診でのパートナーの付き添いもできなかったり、退院まで面会できなかったりと、妊婦さんの不安が増加していることと思います。

そんな状況下なので、実際にその場で『立ち会う』のは難しい状況が続くことが予想されますが、スマホのビデオ通話で中継することを許可する病院も増加しており、出産を見守って応援するパパ側の気持ち、そして、パパとママが出産を共有する気持ちが見直されてきているのではないかと思います。

バースプラン(妊婦さんとパートナーがどのような出産を希望するかというプラン)を立てる際も『立ち会いできないから、よろしく』ではなく、どのようにパパとママが一緒に赤ちゃんを迎えることができるかを考えていきたいですね」

(オトナンサー編集部)

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尾西芳子(おにし・よしこ)

産婦人科医(神谷町WGレディースクリニック院長)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性の全ての悩みに応えられるかかりつけ医として、都内の産婦人科クリニックに勤務。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

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