オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

借金を明かす妻、見えた夫の“本性” 夫婦間の「お金」トラブルを防ぐために

多くの夫婦間で自然と交わされている「お金」の話。しかし、中には、パートナーの年収や貯金額に無関心な夫婦もいるようです。そんな夫婦に起こった、お金トラブルの事例を紹介します。

夫婦間のお金のトラブル、避けるには?
夫婦間のお金のトラブル、避けるには?

 皆さんは夫婦間で、1日に何回、「お金」の話をしますか。

「息子2人分の塾の月謝だけでもきついのに、2人とも『空手教室に行きたい』って言いだしたわ。どうする?」

「おばさまへのお歳暮、今年は2800円の箱に縮小しようか」

「リモートワークで浮いたランチ代で、ネットショッピングしていい?」

 このように、お金にまつわる会話は夫婦の間で自然に交わされているはずです。しかし、ワーキング妻が増え、昭和と比べると「夫婦で財布が別」の家庭も増えているはず。「妻の貯金を知らない」「義父が亡くなり、夫が相続したはずだけど、何をもらったのか知らない」といった、パートナーの持ち分には無関心な夫婦のお話もよく聞きます。

 しかし、パートナーの浮気疑惑で離婚を考えたとき、親の介護が現実味を帯びてきたとき、昔の借金が見つかったとき…イレギュラーなお金の流れが視野に入ると、冷静でいることはできません。お金トラブル勃発で夫婦仲に亀裂が入る前に、今のうちから、大まかな懐具合は共有しておきたいものです。

 今回は、お互いのお金事情を知らなかった、驚きの夫婦のエピソードをご紹介します。

ある日、役所から税金納付の通知書が…

 梨々子さん(41歳、仮名)と正敏さん(45歳、同)は2人とも有名企業に勤務していて、ざっくり言うと高収入夫婦です。お互いの年収は把握せず、子どもの教育資金や住宅費、生活費は完全に折半。梨々子さんの育休中は夫から、生活費だけ渡されて生活していました。何の不自由もなく、金欠の経験もありません。梨々子さんも夫の年収を知ろうとは思っていませんでした。

 そんな梨々子さんですが、ある日、正敏さん宛てに、自分たちが住む区以外の税務署から、固定資産税納付の通知書が送られてきて驚きました。しかも、2カ所、別々の区からです。「愛人にマンションを買ったのかも」と激しく動揺しましたが、正敏さんに確認すると「税対策が必要になったから、マンションを2部屋買った」と言うのです。

「さすがに驚きました。ゆくゆくは子どもたちに遺産として残すこともあるだろうし、そんな大きな買い物は相談してほしいと思いました」

 しかし、「マンションの価値が下落することはないのか」「もし、今の会社を辞めることになったとしても、ローンを支払えるのか」と心配事も出てきたので、これを機に「せーの!」でお互いのウェブ口座を見せ合うことになったそうです。ちょっとぜいたく過ぎるお金の心配事もあるのですね。

妻が夫に話せなかった借金

 麻帆さん(34歳、仮名)は保険の外交員をしていて、歩合制で働いています。夫の幸則さん(36歳、同)はフリーの在宅ワーカーです。お互いの年収は知りませんが、子どもの保育料と家賃を夫が払い、他のお金は全て、麻帆さんが担当しています。麻帆さんは、お客さんとの商談で喫茶店を使ったときの費用などを全て自分持ちにしています。お客さんへの誕生日プレゼント代などもバカにできません。

 外交員を始めた頃は不慣れで稼ぐことができず、独身時代にためたお金を切り崩して、生活費に充てていました。しかし、やがて足りなくなり、クレジットカードのローンを利用するようになっていました。そこで夫に相談すればよかったのですが、プライドもあり、言えなかったのだそうです。

 借金は徐々に膨れ上がり、とうとう100万円超え。麻帆さんはそこでようやく、夫に打ち明けます。夫は激怒し、「おまえのつくった借金なんだから、俺は知らない。勝手にして」と突き放しました。「最低だ…」と思いながらも、子どもが小さいこともあり、離婚はできないと麻帆さんは決断。実家に泣きつき、100万円を肩代わりしてもらいました。

 その後、麻帆さんは保険外交員として着実に力をつけ、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格も取ったそうです。彼女から、力強い言葉を聞くことができました。

「親に借りたお金は毎月、少しずつ返しています。親は夫に対してはいい思いを持っていません。窮地のときに突き放すなど、この先、また何かあったときもそうなるから、離婚しなさいと言います。私はまだ、そこまで考えていませんが、生活費を切り詰めながら貯金はしています。FPになって、お金の仕組みが見えてきて、積み立て投資信託も始めました。お金に働いてもらわないと」

 夫婦間で、お金のことを全てオープンにする必要はありませんが、いざというときにけじめがつけられるよう、そして、親や友人に借りることがないよう、両者が稼ぐ力を持っていないと大変なことになってしまいます。お金のトラブル時は、幸則さんのように本性が暴露されます。「夫婦といえども、金に関しては赤の他人」の態度を取られると切なくなりますね。麻帆さんはご両親に経済力があったので、人生の立て直しができましたが、実際は助けてもらえない人の方が多いでしょう。

 人生100年時代、何歳まで生きるか分かりません。笑顔で家を出た夫がその日に交通事故に遭う、自分が突然、命に関わる病に倒れる…という不測の事態を想定しながら、夫婦の会話をしてください。お互いの危機管理能力を鍛えられますし、「お金に汚い人・純粋な人」の判断もできます。

(「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美)

三松真由美(みまつ・まゆみ)

恋人・夫婦仲相談所 所長(すずね所長)・執筆家

夫婦仲・恋仲に悩む女性会員1万3000名を集め、「結婚・再婚」を真剣に考えるコミュニティーを展開。セックスレス・ED・女性の性機能に詳しく、性を通して男女関係をよくするメソッドを考案。20代若者サークルも運営し、未婚世代への結婚アドバイスも好評を呼ぶ。恋愛・夫婦仲コメンテーターとしても活躍中。また、フェムテックの分野で女性を支援する企業「Glad」を創業し、新しいサービスを手掛けている。著書は「夫婦の『幸せ循環』を呼ぶ秘訣」(講談社)「モンスターワイフ」(同)「40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣」(扶桑社)「堂々再婚」(wave出版)など多数。コミック「『君とはもうできない』と言われまして」(KADOKAWA)の監修も手掛ける。恋人・夫婦仲相談所(http://fufunaka.com/)、公式note(https://note.com/suzune_16)、Glad(https://www.glad.tech)。LINE登録で「夫婦仲チェックシート」を無料プレゼント(https://fufunaka.com/archives/lp/line)。

コメント