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新築分譲住宅に猫が毎日フンをして悪臭が…クレームに悩む不動産会社は飼い主の責任を問える?

分譲住宅の建築現場に、外飼いされている隣家の猫がふん尿をするせいでさまざまな迷惑を被っている、という不動産会社員の投稿が話題に。こうしたケースで飼い主の法的責任を問うことは可能でしょうか。

外飼いの猫が新築物件にふん尿をして…

 飼い猫の「ふん尿トラブル」に関する投稿が先日、SNS上で話題となりました。不動産会社に勤務する投稿者は、建築中の新築戸建(分譲用)の現場に、隣の家で外飼いされている猫が毎日フンをしていくことを伝え、「新築の現場なのに臭気がすごく、ご案内の際に悪印象を持たれる」「引渡しの済んだお客様からは『臭いがすごく、換気もできない』『洗濯物も外に干したくないレベル』というクレームが入っている」と訴えました。自身も毎日フンの処理をしているらしく「飼い主のせいで猫が迷惑だと思われるようなことがあると悲しい」「飼い主はペットのすることに責任を持ち、マナーを守ってください」と呼びかけています。

 これに対して「猫アレルギー持ちにとっては、猫の放し飼いは本当に困る」「猫の放し飼いを規制する法律ってないんだっけ」「無責任なエサやりもダメだよな」など、さまざまな声が上がっています。こうしたケースで、猫の飼い主の法的責任を問うことはできるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

「人に迷惑をかけない」努力義務 

Q.そもそも、ペットの放し飼いを規制する法律は存在するのでしょうか。

牧野さん「『動物の愛護及び管理に関する法律』第7条1項には『動物の所有者又は占有者の責務等』として『動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない』とあります。つまり、動物の所有者又は占有者には『動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない』という努力義務が課されます。猫だけでなく犬も対象です。しかし、罰則は規定されていません。各都道府県の動物愛護管理条例もおおむね同じです」

Q.猫のふん尿が原因で販売住宅に何らかの不利益が生じた場合、不動産会社はどのような法的手段を取ることができるでしょうか。

牧野さん「民事上の損害賠償請求の可能性があるでしょう。動物の愛護及び管理に関する法律第7条1項の『人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない』という努力義務違反を根拠として、飼い主は過失によって他人の権利を侵害し損害を与えているため、民法709条の不法行為に基づき、発生した損害(不動産会社であれば時価評価の低下分、住人であれば慰謝料)について賠償請求できる可能性があるでしょう。ただし、まずは損害賠償請求をする相手方の所有者や占有者の特定が必要です。首輪で所有者や占有者が明確な場合、それを捕獲して示すことができますが、首輪がない場合は、それに代わって飼い主を特定する証拠を示す必要があり、これは難しいでしょう。野良猫に餌付けをしているだけの場合『私は所有も占有もしていない』と否定されてしまいます。また、具体的に発生した損害の証明も一般的に難しく、実際に救済を受けることは困難でしょう」

(オトナンサー編集部)

牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。